【GL】二人がいいの3 シスコン萌と香織の出会い

葉っぱ

第1話 お姉ちゃんと、二人がいいの

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654355001498

「長年培った年下甘やかし属性を捨てられない彼女に年上甘やかし彼女ができる話」に出てくる萌と香織の話です。元ネタを読んでなくても良い話にしてありますが、読み比べていただくとさらにお楽しみ頂けるかと思います。最初は妹の萌が姉の妙に本気で恋心を抱いていた過去の話から入ります。


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 中学に入って最初に驚いたのは、私が有名人だったこと。


 語弊がある。本当に有名人なのは2つ上のお姉ちゃん。私が進学した中学の3年生には大好きなお姉ちゃんであるたえがいた。私の名前はもえだ。


 ものすごく可愛くて、運動もできるし頭も良いお姉ちゃん。私が甘えん坊だからか、頼りがいがあってとても優しい物腰の柔らかい人。大好き。


 そんなだから、お姉ちゃんは中学で人気者だった。そのお姉ちゃんと私は良く顔が似ている。本人からしてみれば私とお姉ちゃんの顔のパーツははっきり違うし、お姉ちゃんの方が何倍も綺麗なのだけれど、周りの人から見たら双子みたいに似ているらしい。つまり私も美少女なんだという噂が入学前から広がっていたようだ。


 お姉ちゃんは綺麗な長い髪を大体いつもおろしていて、生徒会にでも入ってそうな凜とした雰囲気だから、私はその逆で髪をちょっとボーイッシュにしていた。いつも似ている似ていると言われるが面倒だったからなんだけれど、それはそれで、


「なんだ。萌ちゃんって妙と顔は似てるけど雰囲気は違うんだね。」

「お姉ちゃんみたいに髪を伸ばしたら良いのに。」


 なんて、入学したてで知らない先輩達からいろいろ私のことを残念なように言われた。まぁ結局は中学の3年間で私も同じように告白されまくったのは同じなんだけど。


 そうそう。私とお姉ちゃんは中高一貫の女子校に通っていた。そこで告白されまくるってことは、相手は女の子ってわけだ。


 正直、私はお姉ちゃんより可愛くて優しい女の人を知らない。だから、恋愛に興味もなければ女の子にも興味がない。男の子にも興味がなかった。おねえちゃんに甘える

時間が一番心地が良い。それが恋かどうかなんて気にしていなくて、ただお姉ちゃんが大好きだった、それだけ。


 家に帰ると、私はまずお姉ちゃんを探す。そしてずっと近くでしゃべってる。お姉ちゃんはニコニコとして話を聞いてくれるし、私の髪や背中を優しくなでてくれる。それが本当に気持ちが良い。本当に、お姉ちゃんが大好き。ただ、


「おねーちゃん、あたしもー!」


 知らない人は知らないのだけれど、実は私たちには年の離れた妹がいて、、


「きゃー!おねーちゃん、だいすきー!」


 この騒がしい声がすると、妙お姉ちゃんは顔をほころばせて小さな女の子を最優先にして抱っこする。


 お姉ちゃんより7つ年下、私より5つ年下である末っ子のすえちゃんがいる。この頃は小学校2年生だった。


 これがまた、絶世の美少女なのである。私と妙おねえちゃんなど足下にも及ばない天使級の美少女。外国人なのかと見間違うほど透き通った肌と自然の茶色い髪。くりっとした目にいつも少し赤らんだほっぺたが可愛らしい。


 母親が子役としてデビューさせるかピアノを習わせるか悩んだ末にピアノになった。発表会でみせたふりふりのレースのついたドレス姿は本当に可愛らしかったのを覚えている。


 私だって、末が可愛くて仕方なかったけど、お姉ちゃんを取られるのがいやだった。


(私は、お姉ちゃんと二人がいいの。)


 そして私は、世間でどれほど自分が可愛いと言われようが、この二人に混ざれば一番ブスなのだとコンプレックスを持っていた。


 そんな多感なお年頃を過ぎて、高校にでも入れば私はそういうことを気にしなくなった。なにしろ私だってあちこちでちやほやされるわけだから。


 そんなある日、


「萌、実は萌だけに内緒で話したいことがあるんだ。」


 そんな風にお姉ちゃんが言って私の部屋に入ってきた。


 衝撃だった。


「私、萌の学年の子と付き合い始めたんだ。萌も良く知ってる子だから話しておきたくて。」


 お姉ちゃんが女の子を好きだという。そしてその相手が私の知っている子だという。それだけでも十分驚いたけれど、


(私以外の人と、お姉ちゃんは恋人になったんだ・・・。もう私の特別じゃないの?)


 それを聞いて、自覚していなかった私の初恋が気づきと共に散った。



 お姉ちゃん、、お姉ちゃん、、お姉ちゃん、、と一人泣いた。


 


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