鉱石の方舟〜ミネラレ・アルカ〜運命の変転は三度まで
青樹春夜(あおきはるや:旧halhal-
第1話 プロローグ 出発
——座標、一致。
「了解っと」
——転移まであと三分。
「……こうなると三分って長く感じるね」
——何か言い残す事でも?
「つれないね。厄介ごとを押し付けられた僕に、少しは同情してくれないかな」
——……無事に戻って来れば、将来は約束されてるでしょう?
「無事に戻って来れるならね。帰還方法がわからないのに送り出すなんて……そう、君は僕の死刑執行人だよ」
——冗談はやめて。そんなつもりは毛頭ないわ。
「戻ってきたら僕は君より歳上になっているかも」
——…………。
「最低限、返事くらいして欲しいね。それとも、それが君達の礼儀なのかい?」
——テラヘルツエネルギー充填。ヴォイド、開きます。
「厄介払いが出来て、嬉しそうだ」
——ひねくれるのはよしなさい。転移ポッド、射出!
突然、身体に圧力がかかり、乗っていたポッドがぐるぐると回転するのがわかる。この不快な回転が収まるまで数十秒我慢すればいい。あちらの大気圏に入ればパラシュートが開くのだから……。
酔いそうな揺れの中、僕は最後に彼女が放った一言を噛み締めていた。
『ひねくれるのはよしなさい。転移ポッド、射出』
それが、僕が恋した
つづく
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