あやめっちとリオちゃん

ヤッキムン

ハーフ

ママはフランス人。

パパは日本人。

だからボクはハーフ。


ママはニース生まれのニース育ち。

パパは大阪生まれの大阪育ち。


ママはニースの高校を卒業した。

ちっちゃい頃から、日本のアニメを観て育ったから、日本のこと大好き。それで京都の大学に留学した。日本の文化や歴史などを勉強している。

ママは、毎週日曜日には大阪の梅田の百貨店で働いていた。

女子の下着売り場。


パパは、神戸の大学生。

たまたま、梅田の百貨店に来ていて、アディダスの下着を買おうと探していたら、そこは女子の下着売り場だった。


☆☆☆☆☆


「う~わっ!女子の下着売り場に来てもうてるやんっ!べつにええけども...てか、むしろ、なんか買うたろ!」

ボクはアディダスの下着で、何か買えそうなやつ、探していた。

そしたら

「何か、お探しですか?」

って、ちょっと変わった日本語に聞こえたけど、めっちゃ可愛い声。


「あっ!いえ...このアディダスくださいっ!」

って、可愛い声の主に、下着と代金を渡した。


「ありがとうございます」

って言って、紙袋に入れようとしていたので


「このままでいいです!」

って言ったら、商品とお釣りを渡してくれた。


う~わっ!めっちゃ可愛いやんっ!ドキドキしてもーた!

「どちらの国からですか?」

って聞いてみた。

「フランスです」


う~わっ!美術とかボクも好きやから、フランスとか、めっちゃ好きやった。

「う~わっ!フランスなんですか~?フランスもめっちゃ好きですよー」

って言ったら、めっちゃ嬉しそうに

「わたしも、日本、大好きなんです」

って返してくれた。


「フランスのどのへんですか?」

って聞いてみたら

「ニースです」

「おおーっ!良いですねー」

「ありがとうございます」

可愛い!可愛いすぎる!


☆☆☆☆☆


今日、アディダスの下着を買ってくれた、めっちゃ可愛い人と出会った。

うちも、だんだん関西弁もしゃべれるようになってきたから、思いきって、お客さんに話しかけてみた。

そしたら、フランス好きって言ってくれた!

ニースも良いって言ってくれたー!嬉しい!

また会えるやろか...

また来てくれるとええなあ...

また買いに来てくれるかな...

可愛い感じの人やった!

可愛らしい感じの人って、うちのタイプやからなあ...

ほんまに、うちの好きなタイプにぴったりやったわ...

可愛らしくて面白そうな感じの人やったなあ...

可愛い感じの人やったから、あのアディダスの下着も、なんか、めっちゃ似合いそう!

ちっちゃくて可愛い感じの人タイプやから、ちょうどぴったりやった!

また会いたいな~!


「リオちゃん!お好み焼きでも食べて帰る~?」

あっ!先輩や!

「はーい!行きましょうー」

同じフロアの先輩の楓さんと、仕事おわって、近くのお好み焼き屋さんに行った。

楓さんのことをみんな「かえっち」って呼んでいるから、うちも、そう呼んでいる。


「今日、リオちゃんのとこに、めっちゃ可愛いお客さん来てたやんっ」

「あ~、そうなんですよ~」

「何を買うてくれはったん?」

「アディダスのショーツですね」

「可愛いの似合いそうな子やったもんなー」

「ほんま、それなー」

「また来てくれるとええなー」

「ほんま、それなー」

「リオちゃんも関西弁うまなったなー」

「ほんま、それなー」

「今日のお好み焼きはリオちゃんのおごりなー」

「ほんま、それなー...って、なんでですかあー、ちがいますよー」

「あはははは」


うちは毎週日曜日に、下着売り場で働いている。

「今週もまた、あの可愛いお客さん、来てくれるかな~」

って思いながら、仕事を始めていた。


お昼前になって

「あっ!また、あのお客さんやー」

エスカレーターで登って来てるの見えた!

可愛いちっちゃな男の子のお客さん、また、うちの売り場のほうに歩いて来てる!


またアディダスの下着を探しているみたい!

よしっ!声をかけてみよう!

「こんにちは~!」

「あっ、こんにちは~!」

うわっ!返事してくれた!めっちゃ可愛い声や!

「いらっしゃいませ~!アディダスの下着ですか?」

「あっ、そうなんですよ~!好きなんで」

「似合いそうですもんね」

「えっ?ほんまですか?ありがとうございます」

うわっ!なんか紅くなってはる!可愛い!


「今日は、どんなのお探しですか?」

「えっ?こないだとは違うデザインのものですかね...」

って言って、たしかに、前回買ったのとは、また違ったものを見てはるようだ!


しばらく、そっとしておこう!

そう思って、いろいろ見てはるのに、口をはさまないで、ちょっと離れていることにした。

ほんまは、もっとしゃべりたかったけど...


しばらくして

「これ、ください!」

って言って、アディダスの下着を持ってきてくれた。

うわっ!めっちゃ可愛いやつやん!

「そのままでいいです」

って、言ってくれてはる。

「はいっ!ありがとうございます」

そのまま、商品をお渡しした。

「アディダスのショーツも、いろんな可愛いデザインのやつあって、いいですよね」

って言ったら、その男の子も

「そうなんですよー!それで、ほしくなっちゃうんですよねー」

「あっ、めっちゃわかりますー」

「買いはじめると、集めたくなっちゃいますね」

「そうですねっ!毎週来てくださいねっ!」

って言いながら、うちの顔も紅くなってもた。

「はいっ!また来週も来ますね」

「わっ!ありがとうございます」


帰って行かはった。

エスカレーターで下っているのを見て、心の中で

「バイバイ~」

って、手をふっていた。


かえっち、すぐ飛んで来て

「あの男の子、今日も来てくれてたな~」

「そうなんですよ」

「なに買うてくれたん?」

「アディダスのショーツですね」

「好きなんやな~」

「えっ?うちのことですか?」

「ちがうわよ~アディダスのショーツを!」

「あっ?そっか...」

「リオのことも好きなのかもね」

「えーっ?ほんまですか?」

「いや、知らんけど...」

「もー!知らないのに言わないでくださいよー」

「あははは、ごめんごめん...でも来週も来たら好きなのかもね~」

「アディダスのショーツですか?」

「リオのことをよっ!」

「えーっ?うちのことを?」

「来週も来たらねっ」

「来るかな~?」

「さあね~どやろね~」


その次の日曜日になった。

京都の四条河原町の自分の下宿から、電車に乗って梅田まで行く。

京トレイン雅洛に乗って。

うちは、この電車、大好き。世界でいちばん好きかも...電車の中まで京都っぽくて。


売り場に着いて、その日の仕事を始めた。

午前中は男の子はあらわれなかった。

お昼をかえっちといっしょに社食で食べた。

かえっちは

「今日も、あの男の子、リオに会いに来るかな~?」

って言ってる。

そして

「こんにちは~!」

って、男の子のしゃべる真似をしている。

「こんにちは~!リオちゃん!」

「いや、リオってこと知らないし...」

「えーっ?知らないの~?」

「知らないよ~!言ってないもん」

「えーっ?言ってないの~?なんで~?」

「なんで~って...」

「じゃあ、リオも、その子の名前、知らないんだ?」

「うんっ!知らないでー」

「えーっ?ほな、今日会ったら名前くらい、おたがいに言うようにせな!」

「そうかな~?」

「そうやで~」


お昼も終わって、売り場に戻った。

そしたら

「こんにちは~!」

って声、背後から聞こえてきた。

あーっ?今日もやっぱり来てくれたーっ!

って思って、嬉しくなって

「いらっしゃいませ~!」

って振り返ったら、かえっちだった。

「もーっ!真似すな!ちゃんと仕事して!」

「ごめんごめん」

って言って、かえっちの売り場に戻って行った。


しばらくして、また背後から

「こんにちは~!」

っていう男の子の声、聞こえてきたから

バッと振り返って

「かえっち!また真似してるやろー!」

って言ったら、その男の子やった。














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