第91話 未来の西王寺家②
『華族の中でも、西王寺家は桜花皇国の武の象徴だと一般的には知られている。軍事や外交を担っており、その軍事力はこの国に比類するかもしれない』
『一国家の貴族が中堅国に匹敵するって凄いよねぇ』
研究所のモニターには、ネット上に公開されている西王寺家に纏わる情報が幾つも出てきた。
俺が知っているところのWiki◯ediaのようなサイトには、公開されている西王寺家の情報が幾つも羅列されており、それを一つ一つ読んでいく。
「間違いない、これは俺が知る西王寺家だな」
そのウェブページの一番最初に表示される縦で書かれた西王の文字は、以前、赤根村で晶さんと初めて出会った際に西王寺グループの社紋と同じだ。
試しに西王寺龍幻、とニアスに入力してもらった所、モニターには俺が知る龍幻会長の画像が幾つも表示された。
『この人って、地球時代の人物だよ?本当にそんな前の時代から来たの?』
「あぁ、・・・・・俺はこの人の下で働いている」
正しくはその人物の娘である西王寺雫の所でだが、守秘義務は無いものの色々と喋っても問題があるので西王寺の事はここで伏せておく事にした。
『へぇー、この人って後に宇宙開拓の祖となった偉大な人物の一人として、すっごい有名な人だよ?』
「・・・・・・間違いないと思う、多分」
幾つも出てくる写真の中には、俺が知っている姿から若い頃、老いた頃といった写真が表示される。どれも自分の記憶の中にある龍幻会長の姿と同じであり、この世界がパラレルワールドとかでなければ、桜花皇国の西王寺家は俺が知っている西王寺グループと同じだ。
現代でも、龍幻会長は世界に影響力がある人物のは間違いないので、将来、宇宙開拓時代と呼ばれる未来で多大な功績を残していても何らおかしくはない、寧ろ俺がアスフィアル世界の不思議物質を送っていたら世界の覇者になりそうなほどの凄みがある。
・・・・・・だからといって俺には関係の無いことだ。核心的な部分は自分が握っているからというのもある。
むしろ、比重的には龍幻会長よりもその娘である西王寺の方が大きい、龍幻会長とは月一ぐらいの感覚で面会することはあるが、西王寺に至ってはほぼ毎日顔を合わせている。
加えてアリアとエウルアの存在も大きい、地球には晶さんや赤根村の人々が居るものの、関係性だけで言えばアスフィアル世界のほうが大きいのは間違いない。
「知ってるといっても、俺が一方的に知っているだけで、向こうは俺のことを知らないだろう・・・・・・気にはなるけど直接会いに行こうとは思わないな」
『そう?』
実際、俺が知っているのは龍幻会長と西王寺、そしてその部下である晶さんだけだ。
他にも幹部の人とは顔を合わせたことはあるが、個人的な付き合いは断っているし、結局は数千年も昔の人達だ。
この時代の西王寺家に知り合いなんて居るわけもなく、例え俺が西王寺家に接触を図っても一蹴されるのがオチだ。
だから俺はこの時代にも西王寺家が存在することに驚きつつも、接触しようなんて考えは思いもしなかった。
『話は逸れたが、ニアス、君はどうするんだ?アングレウス都督は君を捕まえようと躍起になるだろう。ここら一帯の開発計画はまだ先だが、そろそろ別の惑星に逃げたほうがいいんじゃにか?』
『出来たら苦労しないわよぉ』
俺が二人にこの時代の西王寺家について聞いたせいで、話が若干逸れてしまったが、レネクトが本来の話に軌道修正したところで、当事者であるニアスがどう行動するか話し合いをすることになった。
「やっぱり惑星間の移動って難しいのか?」
『惑星間の移動となれば、全て政府が仕切っているからねぇ・・・・・・付近の宙域で違法活動をしている宇宙海賊を雇ってもいいんだけど、何時裏切られるかわからないし』
『宇宙海賊は止めたほうがいいな、逆に君を差し出して報奨金を得ようとしてくるぞ』
宇宙海賊、この世界にはそんな存在も居るのかと驚きつつも、二人の会話を聞く。
『超長距離ワープに至っては軍の管轄だ。民間で外宇宙に出るのは流石に無謀すぎるな』
今の状況を簡単にまとめると、俺たち三人が今居る惑星ゼラートのトップに新しい人がやってきた。
その人物は聖都と呼ばれる場所から追い出された形でこの惑星ゼラートにやって来たそうで、かなり横暴な態度が目立つ人物らしい。
レネクト曰く、その様な人物が辺鄙な地で平穏に一生を終えるなんてことはまず有り得ないようで、かならず聖都へと戻るために何かしらのアクションをしでかすと言う。
その一つに、この惑星ゼラートに隠れ潜んでいるニアスを捕まえるが挙げられ、実際にニアスを捕まえた際の報奨金はかなりのものになっているらしい。
だからといって、ゼラートから脱出しようにも移動手段は政府が牛耳っており、非合法な手もあるが危険すぎるために難しい。
「つまり、手詰まりってことじゃないか」
『そうだよ、だからこうやって悩んでいるというわけ』
それでもニアスは気負った様子もなく、ただ飄々とした様子でそう答えた。
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