第90話 未来の西王寺家
『都市の様子はどうだった?最近、聖都の方から新しい都督がやって来たって聞くけど』
『アングレウス第三騎聖将だな、どうやら聖都の方で政争に敗れて左遷されるようにゼラートに赴任して来たらしい、噂に聞けば随分と横暴な態度が目立つ御仁のようだ』
ニアスの研究所から1番近い都市に、この惑星を統治する偉い人物が最近やって来たそうだ。
アングレウス第三聖騎将、何ともファンタジーチックな名前だがニアス曰く、惑星ゼラートを支配する国家でも指折りの権力者だという。
政争に負けて左遷させられた。こうやってニアスやレネクトにも話が伝わっている辺り、結構有名な話なのかもしれない。
一般市民に知られているということは、政争に負けた敗北者としてこのような辺鄙な場所へ飛ばされたわけで、プライドの高い人物がこの様な境遇に陥ったら何をするかは安易に予想が出来る。
『星庁で清掃員をやっていたウェメール人が腹いせにその場で斬り殺されたらしい、理由はアングレウス都督が居る場所でそのウェメール人が頭を下げ跪かずに作業をしていたからだそうだ』
『うわぁ、随分と横暴だね』
ウェメール人とは、資源惑星ゼラートが居住可能になった段階で送り込まれた人々の事を言うらしい。
元は別の惑星で生活していたようだが、戦争によって故郷を奪われ、奴隷の様な待遇でこの惑星に送られたらしい。
『ニアス、これは他人事ではないぞ?君も大分危うい状況に陥っている』
『えっ、私も?』
アスフィアル世界と違い、この世界において奴隷とは人権という人権が存在しないようだ。その扱いは捨て駒に近く、かなり酷いものだという。そんな風にレネクトの話を俺もニアスも何処か他人事のように聞いていたが、レネクトが言うにはニアスも他人事では済まされない状況のようだ。
『あぁ、君の詳しい居場所が分からないとはいえ、この星に居ることは周知の事実だ。先日赴任してきたアングレウス都督が君を捕縛し、その手柄で聖都に返り咲く・・・・・・なんて事を考えていても不思議ではない』
『うえぇー』
『実際、君を捕縛した際に貰える報奨金の額が跳ね上がっている――――――ONLY ALIVE、二百年経った今でも政府は君を狙っているようだ』
『うわっ、私を捕まえた際の報奨金が一級市民への格上げに、死ぬまで年間5000万メィーゼルの支給って』
レネクトの話を聞いて、ニアスは白衣の内側にあるポケットから携帯端末を取り出して情報を確認していた。
「生け捕りのみって事か、200年以上経った今でもニアスを狙っている奴らは未だ不老化技術を実現出来ていないのか?」
『実現できていないから未だに私を狙っているんでしょうね』
『聖王も今年で90歳になるという、いつ天に召されてもおかしくないお年頃だ。より一層君の価値は高まる事だろう』
レネクトがそう会話を締めくくると、続きは研究所の中で・・・・・・ということで中へ戻る事にした。
『桜花皇国の旧言語か、彼の国は指折りの大国ではあるが、流石にここら辺の銀河では珍しいな』
『平行世界、もしくはタイムスリップしてきた人なんだって、到底信じられないんだけど色々と証拠は見せてもらったし、信じていいと思うよ?』
「・・・・・・その桜花皇国ってまず何なんだ?」
レネクトが研究所へ訪れてくる寸前まで居た研究所のメインルームに三人で戻ってきた後、再度自己紹介をしてニアスに俺の説明をして貰う。
そしてニアスとレネクトが語る桜花皇国、俺が喋っている言葉は日本語なのでそこから安易に想像すれば遠い未来の日本なはずだ。
『桜花皇国は宇宙開拓時代、地球で力を持っていた先進国の一つが源流だと言われている。皇国という名の通り、桜花皇国には天皇と呼ばれる特別な位があり、かの天皇家は地球時代の古くから脈々と続いているそうだ。桜花皇国ではその天皇が国の頂点として、西王寺家、秋宮家、三笠家、東條家、藤家の5つの華族と呼ばれる特別な家が大きな権力を持ち銀河有数の大国を維持している』
『この華族っていう一族は、一族だけで下手な小国よりも力を持っているんだよ、華族の中でも筆頭一族と言われている西王寺家が、最近2つの小国を攻め滅ぼしたはずだよ?』
「西王寺家・・・・・・?」
めちゃくちゃ聞き覚えのある言葉がニアスとレネクトの口から出てきた。その前の話を聞く限りだと、桜花皇国は遠い未来の日本と見てまず間違いないだろう、しかし・・・・・・
「まさかあの西王寺家か、冗談だよな?」
『アレンは西王寺家を知っているの?』
知ってるも何も、現在進行系で数千年前の西王寺家当主とその娘の下で働いているのだ。ただこの事を二人に伝えるべきか非常に迷う所だった。
もしかすれば俺の勘違いという可能性も捨てきれないが、現代の地球においても西王寺家はグローバル企業として非常に影響力が大きいので、数千年後の未来でも人類が存続していればその影響力が続いていてもおかしくはない・・・・・・と思う。
「・・・・・・知っているが、俺の知っている西王寺家と同じなのかは分からない、勘違いの可能性もあるから詳しく教えて貰えないか?」
ただ今は情報を集めてみないと分からない、そう思い俺は引き続きニアスとレネクトから桜花皇国を代表する一族の西王寺家について詳しく聞くことにした。
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