船頭と子ども


「暇ならちょいと手伝ってくれや」

 船頭が気まぐれに、河原で遊んでいたた子どもに声をかけた。

 舟にも乗らず、ずっとひとりで寂しそうにしていたからだ。


 それから、数十年が過ぎた。

 その子はよく働き、船頭の良き相棒になった。

 しかし、別れの時は突然やってきた。

 突然その子が「お母さん!」と叫んで、舟を待っていた女性に抱きついたのだ。


 まあ、よくあることだ。

 ここ、三途の川では。


「さあ、乗りな」

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