第12話:急転直下?
誰か私を助けてください。
私を
後から合流した魔人の
だから空いてる椅子に座っても、別に異を唱えませんでした。
番様の椅子が足りないから隣のテーブルから持って来ようと腰を上げたら、隣のカリナン様に強く腕を引かれ……気付いたらカリナン様の上に座ってました。
「はいぃ!?」
慌てて立ち上がろうとする私の胴体に、カリナン様の腕が巻き付きました。
しかも両腕です。
あたふたしている間に、私の座っていた椅子が魔人の番様の所へ行ってしまいました。
魔法です!フワフワと浮いて番様の所へ行きましたよ!
椅子に座った番様は、ちょうど私の正面にいらっしゃいます。
「あらあら、うふふ」
微笑ましいものを見るように笑っていないで助けてください!
番様が横の魔人の様に何やら囁いて、二人で視線を合わせて笑っています。
あぁ、神の作りたもうた芸術品が笑っています。
魔人の様は笑うと、暗闇から星空へと変わったかのように、雰囲気が変化しました。
凄い、素直に見蕩れるほどの美しさです。
「やっぱりああいうのが好き?」
どこか拗ねた声音でカリナン様が聞いてきました。
確かにとても素敵だし、好ましく思います。
「教会の美しい彫刻を嫌いな人はいないと思います」
但し、そういう種類の好きなのです。
なんかもう、この後は、恥ずかしいやら恐れ多いやら、殆ど記憶が無いままでお開きになっておりました。
来た時と同じように、皆様一瞬で消えていきました。
目の前には、空き皿と空き瓶と空きコップの山。
頼んでいないのに、周りの屋台からどんどんと色々運ばれて来たのです。
空いたお皿や瓶などは途中で料理を持って来てくれた人達が下げてくれたのに、まだこれ程有るとは……。
どれだけ飲み食いしていったのでしょうね。
「お片付けしないと」
カリナン様の膝から降りました。
人の膝の上に座っていたという体の強ばりがありません。
今更ですが、魔法で
膝の上では有り得ない安定感でした!
「あ、いっすよ~片付けとくんで!」
空いたお皿を重ねていたら、屋台の方から声が掛かりました。
そういえば、飲み物を持って来た方も最初に同じ事を言ってくださいました。
すっかり忘れておりました。
色々ありすぎて、あののんびりした時間が遥か昔に感じます。
「元婚約者は魔人のが対処してくれるし、安心安全だね。さて、帰ろうか」
カリナン様がニコニコしながら私の顔を覗き込んできました。
「はい。今日はありがとうございました」
カリナン様へと頭を下げてから、お見送りしようと笑顔を向けました。
あれ、おかしいですね。
カリナン様がニコニコしたまま、一向に立ち去ろうとしません。
二人して笑顔で向き合っていて、
「何してんのペレーザ。早く帰ってご両親に挨拶しないと。やはり直ぐに結婚は無理だよね。婚約期間は3ヶ月?半年?」
え?いつの間にそういう話になってましたっけ?
記憶に無いのですが……。
「え?まさか、亜人の王達に『運命の人』と紹介されたのに、俺から逃げられると思ってたの?」
紹介……されてませんよね。
失敬なのは解っていますけど、凄い眉根を寄せてしまいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます