私は、幸せです。

仲村 嘉高

第0話:この世界の成り立ち



 暑くも寒くもなく、水も緑も豊富で、肥えた土地に【人間の国】は在る。

 鬼人は岩山など鍛錬する場所のある険しい土地に【鬼人の国】を作り、竜人は水辺の多い場所に【竜人の国】を作り、天人は登るのにも苦労しそうな高地に【天人の国】、妖精は樹木が鬱蒼と茂っている土地に【妖精の国】を作った。魔人は「平和過ぎる!」と1番理不尽な理由で【人間の国】のある土地には住まなかった。

 【魔人の国】がどこにあるのかは、定かでは無い。




 ※※※※※※※※※※※※※※※




 この世界には、人間の他に亜人と呼ばれる種族が居る。

 魔人、鬼人、竜人、天人、妖精、そして獣人である。


 広大な大陸に、その国々は在った。

 元々は獣人以外の亜人だけが住む大陸だったのだが、1,000年以上前に、遥か遠い土地から、人間が移り住んで来たのだ。

 人間が住人の7割なので【人間の国】と呼ばれている。

 残りの3割は、獣人の血が入っている。

 但し、純粋な獣人は殆どらず、【獣人の国】はこの世界のどこかに別に存在しているらしい。



 元々は獣人と人間は同じ国に居たのだが、獣人が人間を余りにも差別し迫害した為に、魔人王が自身の番である人間の為にここの土地に人間の国を作ったのだ、と建国史には記されている。



 建国当初から、両親が獣人な者は草食獣人しか、居ない。

 なぜならこの国に移住した獣人が、人間の番となっていた草食系獣人達か、肉食系獣人に迫害されていた草食系獣人だけだったからだ。

 今居る肉食系獣人は、肉食系獣人の番だった人間が産んだ者がその後に繁殖した者である。


 両親が獣人の肉食系獣人で【獣人の国】から【人間の国】に移住した者は皆無だった。

 移住の為の条件を満たす肉食系獣人は、一人も存在しなかったせいである。




 人間と獣人の間の子供は、獣人と人間のハーフになり獣人の血が薄まるのだが、獣人同士の結婚だと、両親のどちらかの種族特性のみを持って産まれる。

 虎獣人の混血と兎獣人の混血の間の子供だと、虎獣人の特色を持った獣人か、兎獣人の特色を持った獣人が生まれるのだ。

 因みに獣人と番である人間の間に生まれた子供は、獣人ハーフではなく、獣人である。


 人間と結婚する事が多い現在の獣人族は、獣人としての能力は殆ど無く、見た目もほぼ人間と変わらない者が圧倒的に多い。

 たまに先祖返りで種族特性の強い者が生まれる事も有るが、純粋な獣人に比べたら圧倒的にか弱いのだが、それを知る者はこの国には居ない。


 草食系獣人は、種族特性が必要な、特殊な技能を受け継いでいる職人の家などでは、今でも純粋な獣人も居るようではある。



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