地球を守るために命懸けて戦ってます
汐織博
第1話
「総員、戦闘配置!」
警報音とともに基地司令の声が響き渡る。
「う~ん、流石新規配属機体だ。いい匂い」
コックピットに座り、ゆっくりとケイジは目を開けた。
電子音が鳴り、右側のモニターに通話の画面が映し出された。
「ケイジ、初陣だからって調子にのんなよ」
「はっ。どっちがだよアレク。」
士官学校からの旧友の縁というのは早々切れないもので、同じ部隊にユーラシア連邦軍京都士官校の成績トップ1とトップ2は配属されたのだった。
「お前らッ!無駄口叩いてる間に死ぬんじゃねぇぞ!」
2人の通話の間にこの舞台の隊長、ベルリ セブンスタークが割り込んできた。
「わかってますよ隊長ぉ。」
「失礼しました。」
間の抜けた返事にベルリはため息をつきながら言葉を返す。
「わかったんだったらとっとと機体をカタパルトへ移せ!」
「「了解!」」
通信を切り、ベルリはシートへ座り直した。
モニターを操作し、オペレーターの映し出される画面に目を向ける。
「セブンスターク隊長。カタパルトへ」
「了解だ」
ベルリの乗機、アルト空中戦仕様カスタムがカタパルトへ移動させられていく。
人型の細身でありながらゴツゴツした本体の上から頭、肩、胸に増加装甲を施しバックパックのスラスターを増設、両側に巨大な羽根を装備した機体だ。
(っし。行くか。)
「ベルリ セブンスターク大尉、アルト空戦仕様出るぜ!」
信号音が唸り火花を散らしながらカタパルトが射出され、アルトが宙へ舞った。スラスターからは青い高熱の風が吹き出される。
続けて黒く塗られた空中戦仕様のアルトがカタパルトへ並ぶ。
「キース クロムト、 アルト空戦仕様出撃する。」
ベルリ機と同じような軌道を描きながらキース機も猛々しく舞い上がった。
(さぁ死ぬなよ、新兵どもっ!)
キースは呟きながらモニター越しに基地のカタパルトを見下ろす。
「ふぅぅぅぅ……。」
ゆっくりと操縦桿を握りしめ自らの機体をカタパルトへ乗せる。
「ケイジ、お先!」
隣のカタパルトでアレクが出撃していった。
ケイジは目の前のモニターを睨み覚悟を決めた。
「ケイジ 草薙、アルト空戦仕様行きます!」
轟音と共にスラスターを全開にしケイジのアルトは戦線へと向かっていった。
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