第7話

 翌日、敢えて人通りの多い時間を選んであんじゅのスマホを回収し、四人はそれぞれに帰宅した。


 見たことを知られてはいけない。そんな気がした。無かったことにしよう。誰も、何も見ていない。動画は削除され、彼らの間で昨夜の出来事はタブーとなった。


 理科室に行くこともなく、授業が終われば明るいうちに、そそくさと家に帰る。そんな日が続くうちに、あの夜見たことは本当に起きた事なのか、夢ではなかったのかと思う瞬間がある。しかし、他の誰かと目を合わせ、瞳の奥に同じ記憶を見てしまうことで、淡い望みはすぐに砕け散った。


 恐ろしかった。見なければよかった。

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