第34話 交渉
バイク部の物置同然の部室から出てきたリナは、空手部が練習している道場に向かった。
道場の中に入ると真剣な表情で練習に取り組む部員達がいた。
リナは、正座している東雲先生を見つけると声をかけた。
「先生!ちょっとお話があるんですが…」
東雲先生は「あら、何かしら?」とリナの方を振り向きながら立ち上がると、リナはバイク部について話した。
現状、顧問がいないので東雲先生に顧問になってくれないか聞いてみた。
東雲先生は腕を組んで下を向くと考え込むようにしばらく沈黙が続いた後にこう言った。
「私は、空手部の副顧問という形だからねぇ…顧問の東堂先生にも何かと頼られてるから空手部から離れるのは難しいかもしれないわ…」
やはりそう言われると思ったが、ここで引き下がるリナではなかった。
「東雲先生の前の学校での空手部の功績については聞いてます、それでもなんとかお願いできませんか?うちの学校にバイクの知識や技量があるのは間違いなく先生…あなたしかいないです!」
リナは深々と頭を下げながら頼み込むと、このやり取りを見ていた空手部の顧問の東堂先生がやってきた。
「2人は何のお話を??」と東堂先生が気になって聞いてきたので、リナと東雲先生は先程の話を説明した。
すると、東堂先生から意外な言葉が返ってきた。
「ほう、バイク部の顧問に東雲先生を…良いんじゃないですか?私としては副顧問として今後も空手部の為に尽力して頂ければ、兼任という形で構いませんよ」
東堂先生もバイク部の顧問として東雲先生が適任と推してくれた。
話をしていると東堂先生自身もバイクを趣味としていて、休日はソロツーリングを楽しんだりしてるらしく東雲先生とよくバイクの話をしているそうだ。
東雲先生が晴れて顧問になってくれることになったことを、リナは急いでバイク部のみんなに報告すると部長の聖奈が1飛び跳ねて一番喜んでいた。
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