5/7 「第一回 大暴力小説大会」銅賞受賞!



 先日書いた短編「けだものタクシー」が、立談百景 @Tachibanashi_100 さんの自主企画「第一回 大暴力小説大会」において、「暴力銅賞」を受賞しました!! ありがとうございます!



■受賞作品「けだものタクシー」

https://kakuyomu.jp/works/16818093074072567614/episodes/16818093074072581520


■【結果発表】第一回 大暴力小説大会

(立談百景さんの近況ノート)

https://kakuyomu.jp/users/Tachibanashi_100/news/16818093076917274495



 この自主企画の講評で、僕の隠した制作意図……つまり裏テーマを完全に感じ取っていただいていて、「やったぜ!」と舞い上がっております。

 というわけで、「けだものタクシー」の裏の製作意図について、ここで説明しておこうと思います。

 よろしければ、ぜひ先に作品本文のほうをお読みください!




■「けだものタクシー」製作意図(Twitterからの転載)


 「第一回 大暴力小説大会」で銅賞をいただきました。


 ひとつお礼を言わせてください。

 タチバナさん(※主催の立談百景さん)が……僕の制作意図を完全に汲み取ってくれました!!

 ありがとうございます!!!! それなんです!! 僕が書きたかった「暴力」は、それなんですよ!!!!




 製作意図を解説します。

 まず「暴力」というテーマを見て、僕は考えました。「作品の『中で暴力を描く』のではなく、作品『そのものを暴力にしよう』」。


 僕の考える暴力小説とは、小説それ自体が、読者に対する暴力になっている、というものです。

 つまり、「読者を徹底的に不愉快にさせる小説」、それが目指したものでした。


 そのために、「暴力」の本質について考えました。

 その結果、「他人の生殺与奪を個人の勝手な考えで区別すること」それこそが究極的に不快な暴力だ! という結論にいたりました。




 この作品の中では、全ての登場人物が他人の生殺与奪を勝手に決めている。

 医者は主人公を見棄てた。上司は圧力をかけて潰そうとした。一見優しい電話越しの受付さんも、「この人は救うべきだ」と考えている、という点で生殺与奪を「仕訳した」ことに変わりない。


 その暴力の世界に主人公も飲み込まれる。

 主人公はその時点で人間性を失った「獣」と化し、他人を勝手な感傷によって轢き殺し始める。

 そして最後の最後……幼い子供ひとりを助けようとした、その極めて身勝手な考えこそが、もっとも醜悪な唾棄すべき暴力だろ!!! というテーマでした。


 だからラストシーンで、主人公はちゃんと少女に声をかけることもできず、汚らしい音を立てながら野垂れ死ぬんですね。

 暴力に飲まれたものは、暴力によって死ぬさだめ、です。




 これまであの作品を読んでくれた全ての人が、あのラストを「最後に人間性を取り戻した」と解釈していました。

 違います。あれは、完全に人間性を失った暴力の化身の、どうにもならない末路だったのです。




 というわけで、「真の暴力とは何か?」「暴力小説とは何か?」ということに関して、僕なりに考えた結論を、「けだものタクシー」で表現してみました。

 こんな尖った作品、全く評価されなくても仕方ないと思っていた。けれど、誰かに分かってほしい。分かる人にだけ届いてくれ! と願っていました。


 だから書いた直後、「あー、失敗したかな……」と思ってたんです。

 この書き方では充分にテーマが伝わらないんじゃないか、と思ったから。


 でも、ちゃんと感じ取ってくれた人がいて、意図を汲み取ってくれた人がいて、本当にうれしいです。ありがとうございました!!




 一方、草森さん(※自主企画の評議員のおひとり)に指摘された「前半と後半の繋ぎが甘い」という点については……俺もそう思います。

 最初はあの辺、段階的に狂っていく描写があったんですが、文字数制限を大幅に超過してしまい、削りに削って制限ぴったりに納めた次第で……エンタメ的に失敗したなあ、という自覚があります。




■まとめ


 正直、冷静になってみれば「読者を不快にさせるための小説」なんて、はっきり言ってメチャクチャなコンセプトなのですが……尖ったテーマのコンテストだったので、思いっきり尖った作品で応えよう! と考えて、こうなりました。

 結果として、きちんと評価していただけたのを、本当にうれしく思います。


 また、この作品は、上記のような裏テーマに気付かなったとしても、シンプルに「頭がおかしくなった殺人鬼によるスラッシャー・ホラー」として楽しめるように書きました。

 殺戮のスピード感、迫力、鬱描写の精密さ、そういうところを楽しんでいただく読み方も、決して間違いというわけではなく、僕の意図した読み方のひとつの側面です。


 もうね、とにかく僕の書きたいものを書いて、読者に想定した通りの気持ちを抱かせることができた!!! と言う意味で、僕としては成功、という気持ちです。

 読者を不快にさせる暴力小説としても成功だし、爽快な虐殺アクションとしても成功。俺は為し遂げたぞ!! と言う気持ち!


 以上、製作意図の説明を終わります。

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