幼馴染の葵ちゃん
二髪ハル
プロローグ
「とおるくん! 将来、とおるくんのお嫁さんになってあげるね!」
「え、あおいちゃんの?」
「そう、だからけっこんして!」
「いいよ」
「やったー!」
そんな会話をふと目を瞑れば蘇ってくる。
小さい頃に幼馴染の葵と結婚の約束をした。それだけだ。
それ以外にも彼女に対して好きになるところは沢山と良いほどあった。
けど、多分幼馴染に対して恋をしてしまった瞬間と言えば結婚の約束をしたなんだろう。
重いといえば重い………。けど好きになってしまい高校一年まで好きだったんだからしょうがないじゃないか。
だから俺の恋を終わらせるために俺は彼女に手紙を送った。
「……すぅ。はぁ」
いい感じの空き教室を見つけて俺は1人深呼吸をしていた。
終わらせるため……。
ただそれだけのために手紙に対して何時間も書き直しをし時間を使ってた。
好きだから終わりにさせたい。
そんな思いで俺は何度も深呼吸をしていた。
ガラッ!
「――っ!」
ドアの方を向くと幼馴染の葵が立っていた。
「ねぇ、透一応聞くけどこの手紙って透が書いたので間違いじゃない?」
「……俺が書いた。話がある」
「うん」
葵は小さく頷きドアを閉めてこっちの方に近づいてきた。
「……それで話って?」
葵は俺が書いた手紙を口元の方に持っいきこっちをジッと見ていた。
言おう……玉砕されても好きなのは変わらないんだから。俺はもう一度深く深呼吸をし、気をしっかりと固めた。
「昔から好きです! ずっと一目惚れでした。俺と恋人になってください!」
人生で初めて頭を思いっきり下げ手を葵の方に向けていた。
「…………はい」
「――っ!」
俺の手に暖かい温もりがありしっかりと握りしめられていた。
「……えっ」
思わず顔を上げると葵が泣いていた。
「ゴメンッ。ゴメンッうっうぅ……」
彼女は何度も手で涙を拭いていて俺の手紙が少しだけ涙で濡れていた。
「……嬉しいから、待って。透が、好き。なのは、私もだから、待って……うっ」
ただぼろぼろと泣いていて顔が俺の手の方に当てていた。
「……好き。好き。……小さい頃から大好き。嬉し、ぅっ……好き」
強く握りしめ葵の涙が俺の手まで伝わってきた。
「……ずっと昔から透と小さい頃に結婚したのは本当で今、嬉しい!」
「っ!」
嬉しかった。葵からそう小さい頃に言ってたのが覚えてくれてたことが。
「葵……俺と結婚を前提として付き合ってくれないか」
「――っ!」
葵が俺の方を向いていた。
「うん。……うん!」
「お、おぉ!」
葵がいきなり抱きしめてきた。
「好き!」
「……俺も好きだよ」
俺はしっかりと葵を抱きしめ泣く彼女の背中をそっと撫でていた。
1年間経つが今なお葵と恋人関係は続いている……
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