川中君は青春のいかづちに打たれ、北に青春の導きを探しに出かけたのでした。

@heigoooooooo

第1話

以下は、オーディオブックサイト開設記念紹介用の 協賛作品です。




本作品は本編紹介用の動画です。


朗読はCOEIROINKつくよむちゃんです。


youtubeからご覧になれます。


https://www.youtube.com/watch?v=uluxZ5F7M7k


本編は以下サイトよりどうぞ。


https://audiobook.booth.pm/items/4650224


https://audiobook.base.shop/items/73108383


 大学2年の夏休み、単身北紀行をすると徒歩の旅に出かけた川中が帰って来た。


やる必要もないのに帰還祝いをやるという。暇な連中だ。


「 たくましくなった川中君に乾杯」


 こういう時の音頭取りの講談師平井が祝詞をあげた。


「 思い返せばひと月前、川中君は青春の雷に打たれ燃え立つ熱情に単身危険を顧みず北に導きの星を探しに出かけたのでした」


 よー、ヒョー、皆が手を打って囃した。


「 いきなり荒波逆巻く洞崩れ海岸で足を滑らせ100を超える擦り傷を負ってしまいました。しばし呆然としたものの不思議な力が漲り、海に入って塩水で傷を癒しました。たちまちに傷は消え茨の野を転げまわれる強靭な皮膚を手に入れました」


 なんじゃそれは。


「 山にこの上なく敬意を持つ川中君は北の高峰の頂に立ち、三浦雄一郎のモンブラン滑走を思い浮かべ、


己を強靭な皮袋とみなし、コロッと転がりました。


すると皮袋はたちまちにスピードを上げまいふん1万回の回転で急峻な斜面を転がり落ちていきます。


世界最高の落下だなと笑みを浮かべました。


また尖った岩に当たり空高く放り上げられた川中君、レジャーランドに遊ぶ如くに死を恐れず無邪気に哄笑しました。


その声は北の山脈に轟きました。


音叉を百万個も鳴らした如くのその声に鳥たちはみな墜落し、牧場の牛はひっくり返り腹を見せ痙攣しました」


 ウソいえー。

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