訳アリ転移者の異世界冒険譚
ユウタ
序章【始まり】
第1話「異世界転移に選ばれた男」
名前、佐久間信幸。
自己特性、知的障害者
等級、4度(軽度)
年齢、18歳(学生)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とある場所では一人の男性が居た。
創造神テスター
「うぅむ・・・彼にしようかね?」
神と思しき姿のその男は手に持っている資料を見てそう言う。
その神の一言により、天使長達が急いで動き始めた。
一方で――――――――
佐久間信幸
「くぁ~~~っ。ネット小説面白過ぎて読み更けちゃったよ」
佐久間信幸、先天性の軽度の知的障害により考える力そのものや行動の有無の判断力の低下が原因で特別支援教育の施された学校に通っていた。
彼が周囲より遅れている実感を感じ取ったのは小学生に上がる前だった。
小さい頃からの彼にとってのハードモードな人生により人生のどん底に居た。
彼自身の自由とも言える行先は結局茨の道になってしまった。
「あ~、どーすっかなぁ~・・・来年は」
だが、そんな彼に新たな人生を歩む切っ掛けが出来た。
そう――――異世界転移である。
「やぁ、少年」
「・・・とは言っても今年で高卒なんですけどね」
彼のその返しに神は思わず笑う。
「そうかそうか、失礼。私は神でね、君のような出自の際に普通の人間とは違う欠如した存在の人間を幾万と見て来たんだ。そして今回は君が選ばれた!」
「・・・それで、俺が選ばれたのは異世界に何を目的で?」
神は指を鳴らし、同時に映像が流れた。
「歴代の転移者のお陰で私が管理する異世界は平和そのものなんだけど・・・キミみたいな存在が放って措けなくてね」
「つまり、自分の新しい目的を自分自身で見つける為に旅を?」
彼がそう返すと神は頷く。
「そこでだ!君が旅先で苦労しないようにサポーターを用意したんだ♪」
「成程」
神の言うサポーターは所謂お手伝いの人。
彼の身の回りの手伝いの機能は備わっていないが一人で自立をするにも心配な神の配慮として使い方やその物の名前等を教えてくれる機能となっていた。
「まっ、君が独りでに喋られて周囲から奇異の目で見られると困るからタブレットを用意してあげよう」
「有難うございます」
神からの手厚いサポートに彼は丁寧にお礼を言う。
「それじゃ、君の気まぐれな旅を見守ってるよ~!」
神に見送られながら転移魔法で―――とある場所に転移した。
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