AR技術が普及した世界観で、それでも己の身と、その手に握る剣で戦う架空競技でつながるボーイミーツガール。
あらすじや作中に出てくる言葉から、どうやら大きな災いがあったような事が窺え、お話の舞台も『帝都』と称されている。
現実に寄り添ったような要素もありながら、どこか現実とは違う世界。
そんな中でも瑞々しい出会いというのは、少年少女の運命を大きく変え、日常をドラマティックに彩ってくれるようで。
一度は剣を折った少年、皐月と、事情によって満足に剣を振るう事が出来ない少女、亜姫の出会いに端を発し、二人の人生が大きく変わっていく。
ものすごく王道のシナリオラインを描く架空スポーツ部活モノで、導入もスッと入ってきやすい。
さらに地の文を形成する落ち着いた語り口は状況把握や、感情移入をしやすくしてくれている。
スピード感のあるバトルも見どころ。
クオリティの高い文章力で表現される近未来の剣戟バトルと、ボーイミーツガールの行方も気になるところです!
AR技術が発達した近未来を舞台にした青春小説。
取り扱われる騎士道競技は架空のものだが、騎士道の名家に生まれた主人公の葛藤は青春そのものだ。
競技が題材になっているので試合シーンでは迫力あるバトルが描かれる。
その一方でラブコメ要素もあり、陰キャに徹する男子高校生と、元気な美少女転校生の関係も楽しめる。
主人公の少年は騎士道精神を嫌っているようで、彼の生きざまは騎士道に根付いたもの。
幼いころから叩き込まれたその精神は、反発しても彼の中に生き続けているようだ。
少女との出会いによって、少年が今後どう騎士道と向き合っていくのか?
ラブコメとしてもバトルものとしても、一方で青春を描いた成長物語としても読める小説です!