第2話
俺をコレ呼ばわりした生徒の方を向くと、そこには4人の生徒たちがいた。
「ナナ、先生をコレなんて言っちゃダメですよ」
途端にミコが部長顔になった。
「皆さん、席に座ってください。そろそろ始めますよ」
「それより、結局コレって新しい顧問なの?」
「それは今から分かります」
この部、意外と種族が豊富だな。人間が2人、猫耳、魔人…。それとミコが
「えっと、本格的な活動は明日からなので、今日は先生に自己紹介してもらいます。それでは、まずは先生から」
「俺が今日からこの賞金稼ぎ部の新しい顧問だ。みんな、よろしく」
俺的にはシンプルでいい自己紹介だったと思うが…。
「つまんな。ホントにこれが新しい先生?」
「緑川もナナに賛同します!前の先生はもっとユーモアがあって退屈しませんでした」
「…zzz」
「…」
不評か…。しかも1人寝てるし。俺、もう折れるよ?折れて辞めでもしたら学園長に怒られて余計マイナスか。
「よ、余は悪くなかったと思うぞ!」
さっきまで黙っていた魔人の少女は俺を気遣ってかそう言ってくれた。なんていい
「まあ、先生をどう思うかは個人の自由ですが、腐っても先生なのであまり言い過ぎないように」
ミコ、それはフォローになってるのか?腐っても鯛みたいに言わないでくれ。
「それじゃあ次。学年ごとに自己紹介して」
「アタシは
「み、緑川は
「…zzz」
1人、猫耳の生徒はさっきまで居眠り程度だったのに気づいた頃には爆睡していた。部活中によくあんなことできるな…。
「アヤカ、起きてください」
「はっ!?今、今って何してた!?まさか、今から賞金首でも殺しに…」
「まったく、夜にちゃんと寝て昼間起きてください」
ミコは部長そしてこうやって部をまとめてくれている…。これって、俺要らなくね?
「ふゎぁぁ。それで何だっけ?自己紹介してるのか。私は藤峰アヤカ。中等部3年だよ。よろしく」
「やっと余の出番か。余はユギカ=シンシェポール三世。中等部2年だ。よろしく頼むぞ」
どこか聞き覚えのある名家の名前が挙がって俺は思わず驚いた。
「え!?あのシンシェポール家のお嬢様なの!?」
「そうだが、そんなに驚くことか?」
「いや、貴族のご子息までこの学校へ通っていることは知らなかったから…」
「この辺り一帯はシンシェポール家の領地だからな。余が通うことは決まっていただろうが、きっと貴族でこの学校に通っているのは余だけだろうな」
こうして、一通り自己紹介を終えた。しかし、この部ではどうやって情報収集してるんだ?
「では、明日の活動を決める為に校庭の掲示板に行きましょうか」
「え?この学校の掲示板でどうやって学校の外の情報が分かるんだ?」
「あの掲示板はシンシェポール領とシンシェポール家と仲のいい貴族の情報が入ってくるので、実質的に世界中の情報を得られるようになってるんですよ」
「へぇ。それは便利だな」
*
俺はそこで呆然とした。賞金稼ぎ部で校庭の掲示板に出向くと、そこではジャンル別に分けられてはいたものの、たくさんの情報が紙に書かれて貼り付けられていた。
「こ、この中から探すのか?」
「大丈夫ですよ、賞金稼ぎに関する掲示板の場所は全員覚えているので」
「え?他の情報は見ないのか?」
「今はあくまでも部活動の時間です。それに、もしも1組しか受けられない高額の依頼があった場合、取れれてしまったり他の人たちと取り合いになったりすることもなくはなかったので」
そう言ってミコは4人を連れてその掲示板の方まで行った。やっぱり、俺要らないヤツじゃん…。
「ありました。明日の夜から郊外の地下闘技場でやる金網デスマッチで優勝すれば1200万ゴールドは確定…。明日はこれにしましょう!」
「え?こ、これって参加しても問題無いの?絶対危ないヤツだよ?」
「大丈夫です。デスマッチなら何回か参加してますから」
「優勝経験は?」
「ありますけど」
「…な、なら、問題無いか」
デスマッチの優勝経験あるって、大人の男相手に…?それって俺より強いってことか…。
「じゃあ、明日の部活動の時間は作戦会議にして、終わり次第向かいましょう」
「「「「はい」」」」
こうして、今日は解散した。明日からは授業日だし1時間目の始業式が終わるまでは担当クラスのクラスメイトは分かんないけど、とりあえず今日は疲れたし早く寝よう。
*
1時間目の始業式が何事もなく終わり、俺は担当クラスになった高等部の3年6組の教室へ向かったが…。
「先生、まさかこのクラスの担任に当たるとは思いもしませんでした」
「俺もミコのクラスに当たるとは思ってなかった」
「では、部活動だけでなく、クラスの担任としてもよろしくお願いします」
「お、おう」
こうなるとは思ってもいなかった。でも、ミコはいい
「それで、先生は今夜のデスマッチのことが心配ですか」
「ミコたちも心配なんだけど、それよりも俺の所為で足をひっぱることが心配なんだ」
「先生はまだ慣れないかもしれませんが、みんなは私が守るので大丈夫ですよ」
彼女は自信あり気に笑ってみせた。
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