妻は元・悪役令嬢...って思われているだけで本当は世界で一番平和主義なんです

葉山詠雄

プロローグ 元・悪役令嬢

「お天気麗しゅう、レイラ様」

「おはよう...」


私、レイラ・ロレーヌは公爵家の第一令嬢です。

公爵家に生まれた以上、私の運命は決まっている。

皇太子、もしくは勇者様が存在すれば関係を結ぶ。

羨望の眼差しにさらされた私ですが、正直言って今立場が危うくなっています。

勇者が降臨し、皇太子・勇者が特待生にゾッコン...。

親からの圧力を程よく避けながら、平和にやり過ごしていきます。

と言って、もう5年が経ちました。

あの頃は15歳、今は20歳。年が経つのも早いものです。


拝啓ヴィルヘルム・ロレーヌ公爵様

緑が生え、そよ風が気持ちよく過ごしやすい季節となりました。

お父様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

こんな私ですが、素敵な夫と元気に生活しております。

私自身、口下手でなかなか本心が間違った方へ受け取られてしまいがちでしたが、彼はしっかり聞いて返してくれるそんなところが良いのです。

身分が違い色々問題がありましたが、幸せです。

まだまだ腑に落ちてないでしょうが、それでも困ったときには助けてくれるところ変わっていませんね。

また実家に帰った際は、一度顔を合わせれたら幸いです。

体にはお気を付けください...


「アキト、こんな感じでいかがでしょうか」

「とても公爵家の身分を感じさせる文だね~」

「じゃああともうちょっと書いてきますね。」

「はーい、終わったら外出かけよっか」

「すぐ終わらせます」


そのほかを書き終えた私は、近所のカフェに来ました。

デートだと意識するとなんだか気分がよくなります。

夫はいつもカフェラテを飲み、私はコーヒーを一杯飲みます。


「アキトはいつもカフェラテを飲みますね。飽きたりしないんですか?」

「そうだね~。全然飽きないね~。まあ気分で違うのも飲むけどね。それこそ期間限定とかはとりあえず一杯飲んでみたくなるじゃん?」

「確かに、上にクリームが乗ってる飲み物はだめですね。女の敵とは分かっていても、あの誘惑には負けます。」

「カロリー気にするよね~。レイラはその分ストイックに運動するから尊敬するな~。」

「最近少し体重が増えちゃって...無念です。剣の稽古をもう少し増やしますね。」

「うーん全然気にならな...」

「アキト」


少し怒気の入った声で呼ばれた俺、アキトはレイラの方を見るのをはばかってしまう。だって、怒ると公爵家オーラが出てほんと怖いから。


「それ以上言ったら夫婦げんかになりますよ。第一、私がこうやって言っているのもアキトのためであって、一度許すとどんどん許すものなんです。そしてブクブクと...ぶつぶつ」

「まあそんなレイラのことも好きなんだけどね」

「なっ...なんてこと言うんですか、アキト!」

「あ、やっべ口に出ちゃってた」


レイラは顔を真っ赤にして肩をめちゃめちゃ叩いてくる。痛い、痛い。

でも喜んでくれたようで良かった。こういうところも好きだなぁと日々思う。

こんな感じでこれからも過ごしていくが、温かく見てくれると嬉しい。

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