第3話
3月29日金曜日夕方4時30分
待ちに待った金曜日である。最初に彼女を見た4時半頃にセブンイレブンに行ってみた。しかしセブンイレブンには文子さんによく似たその女性はいなかった。店員は2人もいたのに、どちらの女性も全くあやこさんには似ていなかった。左側の店員が一見すると文子さんに似ているのかなと思ったりするのだが、近づいてよくよく見ると遠目には顔立ちが似ているように見えても、近くで見ると全く似ていない顔だった。もう一人の娘はお肌は綺麗でキメも細かくて良かったんだが、顔の幅が広めで論外だった。この世に文子さんによく似たような女性がいるわけはないんだ。改めて私はそう思った。じゃあ、あれは一体何だったんだ。探し始めて初めて入ったコンビニで文子さんによく似た女性を見つけたという風に思ったのは、幻だった
んだろうか。 そういえば僕は前にもそんな幻を見たことがあった。もう20年以上も昔だ。昔の仲間と朝まで飲んでいて、二日酔いの頭で最後に入った喫茶店でそのバイトの女性を見かけた。すごく綺麗で可愛らしくてなんて綺麗な女性がいるんだと僕はその時驚いた。しかし 次の日の朝になってみんなに聞いてみるとそんな綺麗な子いなかったよって。僕は同じ日の朝にまた同じ喫茶店に行ってみた。
確かにそんなにきれいな女の子はいなかった。ちょっと前にいたのにと思って、僕は店の中をぐるぐると見回してみた。しかしやっぱりどこにもそんなにきれいな女の子はいなかった。僕は幻でも見たのかとその時初めて持った。だからあやこさんに似たような女性がいたと思ったのも、また幻だったのかもしれない。僕はそんなふうに幻を見たりする体質なのかもしれない。特に二日酔いや、強いショックを受けた後なんかにはそうなりやすいのかもしれない、きっとそうなんだろう、あやこさんによく似たような美しい人がこの世の中にそんなに簡単にいるわけがない。
きっと幻だ。またどこかで似たような人を探すしかないんだけど、いるかな。まずいないだろうな。栃木まで探しに行った方が早いのかもしれない。 必ず成功して文子さんに胸を張って会えるようになったら栃木まで迎えに行きたい。そう思ってる。
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