影山ラノベ作家目指すってよ
岸馬きらく
第1話 知人へのインタビュー
「ええ、凄いやつでした。とにかく凄いやつです」
当時、同級生だった日野進次郎は「彼」のことをこう語る。
「当時俺は、自分の言うのも少し憚られますがプロのスカウトにも注目されるような野球部のエースで、高校一年の時に140kmを投げてたんです。まあ、小さい頃から親父と野球漬けなのもあったので……」
確かに聞き取りやすいハキハキとした声で語る日野の体は大きく、同時に引き締まっており、普通ではないレベルでスポーツをやり込んだことのある体であった。
「当然、高校生でそういう……なんて言ったらいいかな『一端のステータス』ってのを持ってると皆一目置くんですよ『日野は凄いやつだ』って」
日野は顔立ちも精悍で整っており、おそらくスクールカーストにおいては本人が意識せずとも勝手に上に位置付けられた存在であろうと言うことが分かる。
「ですがね……」
と、日野は一言置いて言う。
「本当に凄いやつってのはそんな分かりやすいステータスでは測れないと俺は思うんです。100mをどらくらいで走れるとか、IQが幾つとか、いくらお金を稼げるとか、そんな次元のものじゃなくてもっと本人の内面の奥から湧き上がってくるもの『魂』『信念』、『揺らぐことない自分』……そういうものを持ってブレずに突き進める人間こそが『本当に凄いやつ』だと思うんです」
そして日野は、少し遠くを眺めながら思い出す。
「あれは高校一年の夏休みが明けて一週間くらいでした。それまではクラスで誰かと会話してるのを見たことすら無かったんですが……あの時から、影山進はずっと俺の中で『世界で一番凄いやつ』なんです」
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