第2話*幼児期はauto modeで

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 う……。


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 うるさい……。



 ゲームしてて寝落ちするのはよくあるけど、こんな頭に直接響くような大音量に設定してたか・・・?


 まあいいや。

なんか苦しいし、もう目が覚めてきたし起きよう。


 目を開いてみたけど……なんか、ぼんやりしてて周りがよく見えないな。


 これは、人の顔か?

だとしたら、近すぎにもほどがあるんだが。


「■、■■■?(おや、この子は泣かないね?)」


「■、■、■■、■■?(私の、息子は、大丈夫、なのですか?)」


「■■。■■、■■、■■(うーん。鼻翼呼吸はしているけど、肺に水が溜まっているから、このままじゃ少しまずいね)」


 どうやら、俺の他に二人の女性がいるようだ。

何か話しているけど、外国語なのか内容が全然わからない。

 わかるのは、片方の声の主はおばさんで、もう片方の声は息も絶え絶えといった感じの若い女の人だろう。


 何故苦しいのかも知りたいし、とにかく、状況を把握したいと強く思う。


 すると、”auto mode”という文言が見えたかと思うと、視点カメラが動くかのように視界が動いた。

 同時にいままでぼんやりとしか見えなかったものがはっきりと見えるようになった。


 見えてきたのは、お産の現場。

産婆らしきおばさんが赤子を抱き上げている。

その傍には、赤子の母親らしき金髪の若い女性。


 先ほど視界から見えたものの位置を考えると、俺は産婆が抱えている赤子と視界を共有していた……?

 どういうことだ、と考えていると赤子が盛大に泣き出す……産声だ。

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