記憶の彼方

@applepeachpie

風を纏う少女

その年は例年より暖かく、まだ3月半ばなのに庭の桜が満開となった。


ほむら様、まもなく儀式のお時間です。」


国の重責を担う朝緋あさひ家。5年に一度、離れにある『儀式の間』にて一族が集い儀式を行う。厳格な儀式の為、当主の孫である僕でさえ儀式を受けるまで内容を聞く事が出来ない。

ただ一族内の12〜16歳の子供を集め儀式を行い、ここ数十年は何事もなかったと聞く。



まぁ、まだ8歳になったばかりの僕には特に関心もない。


ふと窓の外に、風に舞う桜の花びらで遊ぶ女の子が目に入った。確か分家の子で6歳位だったな。親が儀式に参加してる間、一人で遊んでいるのかな。彼女の周りだけ花びらが舞っているところを見ると『風使い』なんだろう。


楽しげな女の子を横目に、儀式の後にある形式だけの式典の準備を進めた。




着替えが終わる頃、離れの方から大きな音がした。窓から見てみるが状況がいまいち分からず。


女の子を見ると先程と何か違う様に見えた。


その数瞬後、目の前に人影が現れたと思ったら胸の辺りが熱くなり、そのまま意識を手放した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る