風井《ふせい》

必然と偶然操りながら

運が運がと願をかけていても

本当の哲学の雨を浴びて

洗えはしない


潮風あたり 腫れたその目を

こすり傷めて 願望の山へ

左半分 失くしたように

ひとつらなりの 妄言探して

“学びのない日ならいらない”

“興ざめするほどの声を寄越せよ”


操り人形師でいるくせにさ

童話のような未来を待っていても

本当の痛みの涙を浴びて

泣けはしなくて


代わり映えずも 月と同じで

美しいだと 凪いてる季節

当たり障りと人目探して

まるで自分を酔わせてるみたい


識ってるだけでまだ知りはしない


雨に塗られているその心まで

ありのままと思い違っていても

本当の哲学の愛を受けて

笑えはしない


必然と偶然操りながら

神よ神よと騒がしくしていても

本当の強さの冷や汗飲んで

吐き出すくらいには

本当の哲学の雨に打たれ

息はできない

―――――――――――――――――――――

 不確かをあつらえど、それは不毛な逃避に過ぎない。それが解っていながら世界は今日を争って回っている。

 そんな見栄っ張りな生活に、無為な全知を提案する……。そのストーリーを高くか細いギターソロのメロディで彩りました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る