ー1ノ2-
第一声。
聞くなり肌が
ぞわり、とした。
「山に行くから 付き合って欲しいそうだ」
手紙には
それしか書いていなかった。
差出人は住職となっている。
が、
それは表向きの話。
「山に行くから 付き合って欲しいそうだ」とは
住職の手ずから書かれたもので。
彼が そう言っていたのだ。
たった一行 書かれた手紙から
彼の声が聞こえた気がした。
たぶん 文字から
聞こえたのだ。
ぞわり、とした肌の感触。
瞬時に察する。
「嫌な予感」
この手の予感は
残念ながら
中々ハズレてくれない。
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