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その年の夏。

帰省しなかった。


関西の某大学に通っていた。

何かにつけ気が合う仲良し3人。


進路決定まで時間もある。

気楽なドライブ旅行にいくことにした。


特に目的も決めず。

日本海側を西へ。

ちょっとした冒険のつもり。

だったのだ。


「なんとかなるだろう」

宿泊先の予約も特にしていない。


道中。

ほどよく休憩。


旅は順調そのものだ。





しばらく。

ふと海が視界に入る。

どのくらい前から「海」だったのか。



おしゃべりに夢中だったからだ。

3人は思っていた。


「ねえ」


一人が

不意に言う。


「みんなで写真撮ろうよ」


言う彼女の指さす方向ー


少し先。

道路脇に空間が見える。

車を止めるほどには余裕がありそうで。



思えば。

いつも3人一緒なのだ。

記念写真を撮るような事も

特になく。

当然、3人一緒に写真に納まることもない。



道路。

その周囲。

崖を切り崩すように作られている。



かなり大きな松の木が見えた。

曲がりくねった枝。

奇妙な印象を受けた。



松の横に小さな自販機。

車一台分は止められそうな空間。


「いいところで休憩場所。

 そろそろ休みたかったし」


始終運転をしていた彼女は言う。

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