黄昏は春の目覚め

翼伸ばせど届かぬ幻よ

メデューサの血を頬張る闇の薔薇よ

何故にお前の魂は宿るのか

ときの煙草にけたほむらの明滅に

心からしりぞけることのできぬ悪魔の顔で


過ぎ去った夢の河の最果ての

我 死に損ないの夜ならば

嗚呼 せめて星は

いつまでも未来あしたとなって

大海のうなりに折れた拳を刺し込んで

生の暁鐘の青い涙を

小さく 余りにも小さく照らすがいい!

鈍色にびいろに染まりて響く歌声の

墓石を不器用に喰い散らすその様を

汝の目にしかと こぼれるくらいに

確と焼き付けるがいい!


 黄昏は春の目覚め

 罪は震えて歓びにむせ

 鍵の向こうのじゃの記憶

 接吻くちづけ交わす紫陽花あじさい向日葵ひまわり……







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る