告別

 私の魂は彼岸に渡った。欲望のこんがらがった絹糸のような身体からだを渇望しながら。

 殴打された精神の行方を知る者はなく、ハンガーにグルリグルリと巻かれた麒麟きりんの首に───この上等な頭は四十六億年間の太陽を見てきた───、私の未来あしたは、ただ、ただ、かじりつくのみ。

 生命いのちの針で響かせるレコードに、透明な和音が干からびている。とろける雪の継ぎ目に沿って、私は黒い今日を生きる、、人知れずテンペスト。


 雲は果て、は凍る。

 私の魂は、こうして彼岸に渡った。







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