空の如く

僕の瞳は どうやら

また喰らったらしい

降りしきる黄金の雨の中

水銀製の蝸牛かたつむりのように

ポツンと独り

今日も静かに佇んでいる

ひと

温もる 温もる 温もる

その 永遠の肢体を


そのかいないだかれしは

夢幻色むげんじきいろどりのハープ

女主人に見初められたか

ポロンポロンと嬉々たる嗚咽


ひと

金木犀きんもくせいのように滑らかな鼻梁びりょうの上の

そのまた向こう

黄金の雨の織り成すカーテン越しに

茜色に染まる 一羽の雀


永遠なれ

春よ どうぞうららかに!

(あのひとの唇の上を

 柔らかに通り過ぎる

 サファイア色に焦げた夢)


嗚呼 なんと重たげに

待っているのか

僕は

あのひとを あの女を あの女を!



けれど 足早に

孤独の煙る炎焔えんえんの部屋に

道化の顔で 僕は去るのだ


この広い空の如く

ただただ 哀しみだけに自惚うぬぼれて



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