第6話 いやこの状況、俺はどうすれば良いんだ!?
「あれ? 今はアカネだけ?」
それを聞いた彼女は小首を横に振った。
「うんうん、みんな来てるよ、スミスミが最後だよ。みんな待ってるから早く会議室に行こ!」
さてと、俺は良い物が見れたし帰るか。俺はこの場から立ち去ろうと二人に背を向けた時、突然、肩を掴まれた。不思議に思った俺は方を掴まれた方向へ振り向く。俺の肩を掴んでいたのは宝条だった。
「何帰ろうとしてるの? まだお礼はしてないよ」
「え、いや俺結構良い物見れたし、もうお礼とかしなくても全然大丈夫!」
それを聞くなり彼女は不満気な顔ぶりになり「何言ってんの?」と言われた。俺が「へ?」と口を漏らすと宝条は、呆れた様子になり、俺の襟首を掴み、強引に楽屋の会議室に連れていかれた。それを見たアカネは少しニヤニヤとした表情をしていた。アカネさん! 助けてください!
※
ズルズルと引きづられながら、連れてこられた会議室の扉を開ける宝条。そこは楽屋とは言い難い程に清潔感のある会議室で、オシャレなインテリアが揃っていた。
「うへぇ」
俺は思わずそう言葉を漏らした。その瞬間、周りの圧倒的な存在感に気づいた。そう俺の目の前に現れたのは仮面アイドルの面々。
「え? 誰その人? もしかしてスミスミのマネージャーさん?」
その気だるそうな声と、その青紫色のサラサラとした髪、そして、その死んだ魚のような目に俺は親近感が湧く、そう彼女こそがアイドルグループのミステリアス枠、ミズレちゃん! やっぱ生で見るのはパネェ!
「え、えっと、スミスミ、あ、あのこの人は?」
そう言って俺の顔をのぞき込むように言う、このグループの恥ずかしがり屋枠の! オレンジ色の髪が似合う
それにしても仮面なしのみんな全員可愛すぎるなぁー!
目の前の前にいる仮面アイドルの面々に興味を注いでいると、ミズレはスマホを触りながら俺の前に立つと、カシャっと俺を撮った。
「うわブッさ、スミスミてもしかしてブス専なん? ほら」
ミズレはニヤリと笑いながら、俺の顔面を撮った写真を宝条に見せる。それを見た彼女は「ミズレ!」と彼女を叱る。いやそう言われるのは慣れてる、幼稚園の頃から俺はよくこの死んだ目のせいでよくブサイクと言われる、なんなら自慢だけど幼稚園の先生からも言われたからな!
そんなことを思っていると、ツンツンと俺の頬をつつくアカネ。そんな彼女は俺を見て「君可愛いねー」と言う。そんなことを言われた俺はつい頬を赤く染めてしまう。
「ねぇ、キミもしかしてスミスミのマネージャーさんになる予定なの?」
「ま、マネージャー?」
困惑していると、宝条は俺の頬をツンツンしているアカネの人差し指を手で退けた。
「アカネこの人は違うから! ホントにファンの子だから」
言うとアカネはニヤッと笑い、宝条の元へ歩み寄り、彼女の耳元で囁いた。
「へぇー、んじゃ私この子……食べちゃおっかな〜」
「——アカネ!」
「冗談だってば〜! もうお堅いな〜。んで何でこの子をここに連れてきたの? スミスミの事だからちゃんとした理由があって連れて来ただろうし……」
アカネはこちらを試すように言って、足を組んで椅子に座った。それに対し宝条はもちろんと言うような顔で俺の前に立った。
「この人には私達の新曲を聞きに来てもらったの」
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