混沌

乾透

始まり

 私の住んでいる街に、とある噂がたった。

 それは、「宇宙人は死ぬと死体が残らないらしい」という噂だった。どこからこの噂が出てきたのかは誰も知らない。

 噂話に興味のない私の元へこの話が回ってきたということは相当出回り、そして時間がある程度経っているのだろう。


 なぜ私の耳に入ってきたかというと、「宇宙人狩りという馬鹿げたものが流行っている」「くれぐれもその様なことには加担しないこと」の二つをHRで担任が注意していたからだ。

 誰かが普通の人を半殺しにしたと。

 ギリギリで他の人が通りかかり、一命を取り留めたとも言っていた。

 たとえ宇宙人がいたとしてもどれくらいの確率でいるかなんてわかりもしないのに、行動に出るだなんて考えなしなやつだ。


 やはり人間は自分達とは違うものに恐怖心を抱きやすいらしい。

 しょうがないことだというのは分かっている。

 しかしそのヘイトが身内に向いたり味方に向いたりするのはいささかどうかと思う。疑心暗鬼だなんて、一番しょうもない。


 そう思ってすぐに脳からその情報を追い出した。

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