のんびりな日
今日はお店の定休日。デンさんとハチくんは出勤。出勤といってもデンさんは猫エリアでのんびり。ハチくんはカフェのテラスで日なたぼっこをしている。
朝はタムがお膝の上に乗ってくる。満足するまで甘えたらすぐ移動してしまう。そのあと床にゴロンとするとすかさずヒメが乗る。そっとタンやカエデ、メイがさわってほしいと隣に来る。順番になでていく。気づくとヒメはおなかの上で寝てしまっていた。みんなそれぞれ自由に過ごしている。幸せすぎる。しかしいつまでもゴロゴロしていられない。掃除をしなくてはいけない。
「さぁみんな。起きてー」
みんな起きる気配がない。
「ほーら起きてー」
『ナー』
『ナオーンー』
『グルグルグル』
だめだ全然起きない。仕方ないのでみんなをそっと持ち上げ窓際に移動させて毛布をかけてあげる。
「ごめんね。もう少し待っててね」
ほうきで掃いてはゴミ箱へ。拭き掃除をしてテーブルを拭く。一通り終わるとまたみんなが足元に寄ってきた。
「ごめんね。もう終わったよ」
みんなにブラシをかけながらデンさんのことを思い浮かべる。そういえばデンさんのブラッシングをしたことがない。やろうとすると。ワシはイイから。と言って離れて行ってしまう。いつかあの大きな体を目一杯ブラッシングしたいなと思っている。
「デンさんのことを考えていますか?」
突然後ろから声が聞こえたので振り向くとナナさんがいた。
「びっくりしました。急に声をかけられると心臓に悪いですよ」
「ごめんなさい。あまりにも幸せそうでしたので……」
「そう?私どんな表情だった?」
「フニャフニャしてたゾ」
ナナさんと一緒に入ってきたハチくんにも言われた。
「デンさんってなかなかブラッシングさせてくれないのよ。もっとスキンシップしたいのに。自分は猫たちにしてあげてるのに。私がデンさんにやろうとするといっつも逃げられちゃうからさ。大柄だからさせてもらったら気持ちいいだろうなぁって」
「ワシはサレルよりスルノがすきなんだヨ」
と言いながらデンさんもやってきた。
「なんならヤッテやろうカ?」
デンさんの大きな顔が近づいてくる。猫のブラッシングって……なめることじゃないの? 少しずつ近づいてくる……あんな舌でなめられたら大変なことに! 身を固くすると、頬を肉球でプニプニされた。
「ヤラネーよ。ワシがナメたらキズだらけニなるじゃろ。それニナ」
デンさんがあごで後ろを見るようにうながす。
後ろにはハチくんがくっついている。
「ソコのばんケンにしかられちまうヨ」
そういって猫たちの輪の中へ入っていった。猫たちもかまってほしいタイミングだったみたい。ちゃんとみんなのことを考えているからすごいなとつくづく思った。そんな私の思いを知ってか知らでかハチくんはずっとスリスリしてきている。その光景を遠巻きにナナさんは笑顔で見守ってくれている。
テラスへ行きコーヒーを飲みながらまったりする。ハチくんが横にちょこんと座りもたれかかる。どうやらお昼寝の時間らしい。伝わる体温が心地いい。気がつくと眠っていた。
……
「オイ、そろそろヨルだゾ」
「んんーーー? あれ? デンさんもいつの間に隣にきてたの?」
「ずっとじゃ?」
「あ、そうなんだ」
「ツムギオハヨウ」
「あ、ハチくんまだいたんだね。ごめんね。重くなかった?」
「ダイジョブ。かるい」
ふたりに挟まれてすっかり夕方まで熟睡してしまってた。ナナさんも隣でまったりしていたみたい。そろそろ猫たちに夕ごはんをあげないと怒られそう。
「みんなごはんだよ~」
みんなごはんと聞いてわらわら集まってきた。
『ニャーン』
『ニャン』
『グルル』
みんなごはんに夢中。ごはんタイムが終わるとそれぞれのお気に入りの場所でまたのんびり。私たちも家へと帰る。扉をあけるとシルフィさんがいつものように出迎えてくれる。
みんなでごはんを食べてお風呂に入って、まったりしながら今日のことを話し合う。また明日からみんなで頑張ろうと言ってそれぞれ自室に帰り思い思いに過ごしたら就寝。
……。
今夜は運動会がありませんように……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます