田舎町の病院

 私は今、ある田舎町の病院に来ています。

実は先週、入院していた祖母が亡くなりました。

高齢ということもあり、覚悟していたことではあったのですが、いざその時を迎えるとやはり辛いものがあります。

幸いにも親戚一同が集まってくれましたので、それほど慌ただしくはなりませんでしたが、一人になった時、果たして自分は乗り越えられるのだろうかと不安で仕方ありません。

正直、今は誰とも会いたくないと思っていました。

そんなある日のことです。

母と一緒に病室へお見舞いに行くと、そこには見知らぬ男性がベッドに座っているではありませんか。とても綺麗な顔立ちをした男性でした。年齢は二十代半ばといったところでしょうか。

母は彼の姿を見て、ひどく驚いていた様子でしたが、すぐに知り合いだということを教えてくれました。

彼は私の祖父の弟の息子さんにあたる方で、幼い頃に両親を事故で亡くして以来、父方の祖父母に引き取られて一緒に暮らしていたそうです。

しかし、昨年から一人暮らしを始め、今回初めて帰省してきたということです。

「こんなところで会うなんて奇遇ですね。お久しぶりです。元気そうで何よりです。それと、お悔み申し上げます……」

「ありがとうございます……」

それから少し世間話をした後、彼が帰る間際になって、ふと気になったことを聞いてみた。

「あの……つかぬ事を伺いますが、以前どこかで会ったことがありましたっけ?」

すると、彼は一瞬驚いたような顔をしてから答えました。「いいえ、初対面ですよ。どうしてですか?」

「いえ、なんだかどこかで見たことがあるように感じたので……」

「ははっ、よくある勘違いじゃないんですかね」

「……確かに言われてみると、そうかもしれませんね」

「じゃあ、僕はこれで失礼します。また機会があればゆっくり話しましょう」

「はい、是非お願いします。それではまた……」

こうして、不思議な再会を果たした彼とはそれ以来一度も会っていない。

だけど、なぜだろう。時々思い出してしまうのだ。

まるで昨日の出来事のように鮮明に。

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