凡庸なスキルしか無い僕が強くなるのは自分を慕う幼馴染(人族最強ランクのスキル持ち)との約束を守るため

千石

第1話 授かったスキルは凡庸で①

「カイ!そっちいったぞ!」


エルザード歴1112年、田舎町アウルの空き地数人の子供たちの遊び声が元気に響く


「いくよ、ザイル!」


どうやら布を丸めた球を蹴って遊んでいるようだ


「いてっ!!」


カイの蹴りは見事に外れ、その拍子にすっぽ抜けた靴がザイルの頭に当たる。球は草むらの方に行き見えなくなってしまった


「あーあ、カイがまたやっちゃった」


一緒に遊んでいた金髪の女の子が呆れた声を出した


「・・・ちょうどいいからひと休みしよう」


いかにもひ弱そうな男の子が息を切らせてそう提案した


「しょうがねぇなぁ。そこの木に座ろうぜ」


あどけなさが残るものの鋭さのあるキリッとした眉毛の男の子、ザイルが提案した


「なあ、お前らはどんなスキルを授かりたい?」


「あたしはお花が好きだからそれ関係のスキルがいいなぁ」


金髪の女の子、マリーがにこやかに答える


「・・・ぼくは魔法関連のスキルがいい」


いつも懐に忍ばせてる魔本(魔法の書)を手に取りながらひ弱そうな男の子、リックがつぶやく


「んー、ぼくはなんでもいいかな」


興味なさそうに黒髪黒目の男の子、カイが答える


「そういうザイルはどんなスキルがいいんだ?」


「俺は、大剣術や大刀術を授かってなんにもないこの田舎町から飛び出していってやる!」


「って、勇者認定されるじゃんそれ」


野望を持ったザイルの答えにカイが呆れたようにつぶやいた


大剣術、大刀術。いずれもランク5の上位スキルだ。


スキルのランクは今まででランク1からランク7まで記録されており、数字が高くなるにつれてより上位のスキルになっていく


中でも、大剣術や大刀術は人類の歴史上最高のスキルで勇名を馳せた勇者が授かったスキルと伝えられている


ランク6以降は上人種とされるエルフや竜人、魔人が所有しているのみであるため、人族でランク5のスキル保有者は勇者や賢者、聖者認定を受け、中央都に集められ英才教育される


「だってよ、せっかくならてっぺんにいきたいだろ?」


ザイルが照れくさそうに顔をかく


「ザイルはすごいね!有名になったらサインほしいなっ!」


マリーが無邪気に笑う


「考えておいてやるよ」


ザイルが満更でもないふうに返した


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