修行し過ぎた魔王、世界を漫遊する
かんら・から
第1話 旅立ち
「9,999、1万…ぬぅ、やはりダメであるか…」
「どうなされたのですか、魔王様」
「最早、レベルが上がらなくなったのである。 ステータス・オープン」
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名前 : アビス
種族 : 魔族
Level : 9999
HP : 666666666666
MP : 666666666666
Power : 666666666
Speed : 666666666
Att : 666666666
Def : 666666666
Dex : 666666666
Int : 666666666
スキル :
火魔術Lv99、水魔術Lv99、土魔術Lv99、風魔術Lv99、
雷魔術Lv99、暗黒魔術Lv99、空間魔術Lv99、古代魔術Lv99、
詠唱破棄、魔眼Lv99、偽装Lv99、変身Lv99、
錬金術Lv99、自動治癒Lv99、
剣術Lv99、棒術Lv99、弓術Lv99、槍術Lv99、斧術Lv99、盾術Lv99、
鑑定Lv99、アイテムボックスLv99、言語理解Lv99
称号 : 魔王
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「あのぉ、魔王様。 もう充分にお強いと思うのですが…」
「まだ足りぬ。 確かにドラゴン程度であればワンパンかも知れないが、リヴァイアサンでは数発は殴らねば勝てないのである」
「お言葉ですが魔王様、ドラゴンが暴れた場合には、軍隊が出動するレベルなのですが…」
「それは修行が足らぬからであろう。 あの様な空飛ぶトカゲ如きに、苦戦する方がおかしいのである!」
「話を聞けよ、脳筋野郎」
「ぬっ、何か言ったか?」
「いえいえ、とんでも御座いません。 それでどうなさるおつもりですか?」
「我は旅に出るのである」
「と仰いますと、リヴァイアサンと相手に修行をなさるのですか?」
「勇者、賢者、聖女、剣聖など、人間には強き者が多くいると言う」
「はぁ、でもこちらからは出向かず、時が来るまで修行せよと仰ったのは、魔王様では御座いませんか」
「そう、万が一でも負けてはならぬため、自重してきたのだが、やぱり本物を見る必要があると思ったのである。 そこで変装して接触してみようと思ったのである」
「見ればガッカリすると思います」
「何か言ったか?」
「いえ、別に」
妙な事を言うものである。 勇者と言えば魔王と対をなす者である以上、我と同等の強さを持つと考えられる。
死んで復活出来るでなし、準備は怠るワケにはいかぬ。
では早速、準備を始めるとしよう。
「変身!」
「おおぅ、何と言うお姿か。 あの勇ましかったお姿が、脆弱な人間のそれで御座います」
「ふむ、我は人間に見えているのだな。 ではこの姿に合う、装備などを準備するのである」
「武器はどう致しましょうか?」
「我の力でも壊れぬ物であれば何でも良い」
「ならば最低でもアダマンタイトの武器が必要で御座いましょうな」
「魔剣はよすのである。 人間がその様な物を持っていれば目立つのである」
「アダマンタイトの武器を持っている奴も、十分珍しいよ」
「ん? 何か言ったか?」
「いえ、別に。 それでは私は準備に取り掛かります。 暫くお部屋でお
「うむ、任せたのである」
訓練施設から自室へと向かう。 魔王城は巨大なので、様々な施設が整っているのだ。
無論、ここに勤めている魔族だけではなく、全ての魔族は勤勉で、訓練さえも怠らないのである。
我が魔王に就任した時には、フザケた態度の奴も多かったのだが、肉体言語で優しく諭してやると、皆、従順になった。
それから我は率先して修行を行い、魔族の何たるかを示してきたつもりなのである。
碌な準備もせずに人間界に攻め込もうとする者には準備と修行の大切さを説き、サボろうとする者には、理解するまで肉体言語で話し合った。
その結果、全ての魔族が修行マニアと呼べるまでになったのだから、自慢の部下達である。
ふむ、人間の姿になっても、我の大胸筋は美しい。 ピクピク。 お前も
おっと、上腕二頭筋も忘れていないのであるぞ。 ピクピク。 そうか、お主も勇者を見るのが楽しみであるのだな。
いやいや、今回は見るだけ。 別に戦ったりしないのである。 だから、そういきり立つでない、広背筋よ。
確かに武器や魔法を使わない殴り合いなどには憧れるが、勇者が肉体言語を話せるとは限らないのであるからな。
まあ同じ匂いを感じた場合は、死ぬまで殴り合うのも楽しみではあるがな。
それもこれも実際に見て、この目で確かめてからである。
「ふふふふふっ」
「魔王様、ご機嫌だ」
「おおぅ、サイクロプスよ。 ナイスな大胸筋であるな」
「おで、修行で強くなった」
「良くこの姿で、我と分かるのであるな」
「魔王様、強者のオーラ、ビンビン」
「ふむ、オーラは抑えているハズなのであるが」
「覇気が滲み出ている」
「はっはっはっ、覇気であるか。 そればかりはどうしようもないのであるな。 まあ機会があれば、また殴り合うとしようぞ」
「魔王様、どっか行く?」
「うむ、少し我のライバルである勇者などを見に行こうと思ってな」
「暫く帰ってこない?」
「そのつもりである」
「おで、もっと強くなる。 帰ったら、殴り合いたい」
「ふむ。 我も再会を期待して、旅の最中でも修行するとしよう」
「待ってるだ」
「うむ、お前も修行を怠るでないのであるぞ」
「わがった」
ふふふ、気の良い奴であるのだな。 願わくば、勇者もマッチョであれば良いのだがな。
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