死んだ魔王のはなし

プロローグ

　統歴382年。

　世界を闇で包み込まんとする魔王"レガシィ"が突如崩御。

　人間界の約4割を手中に治めた魔王軍の勢いは薄れ人類の大規模反抗が始まった。

　翌年、統歴383年。

　魔物たちは魔界への撤退を開始。

　羅門と呼ばれる世界中に点在する人間界と魔界が通じる扉の支配権を人類が確保。

　新たに魔界では魔王"グラディウス"が即位した。

　しかし、魔王軍は魔界の再建に注力。地上侵攻を後のものにするのであった。

　人類は勝利を革新、魔界への侵攻をも開始するのだった。

　翌、統歴384年。

　人類の連合騎士団が"帝国アルカデン"の羅門より魔界へ出撃。その数は30万を超えたという。

　結果は惨敗。帰還率は1割未満。人類は再び魔物の脅威を垣間見る。

　以降、人類の魔界侵攻は各国の判断に委ねられ、羅門をくぐるのは主に冒険者や一部の騎士団や勇者となった。

　羅門を超えた者を待つのは死のみ。そう誰もが認識した。