幼なじみがまさかの吸血鬼だったなんて

まっちゃ

第1話 俺が吸血鬼だったらどうする?

「知らん」


わたしの名前は片倉さな。

現役でピチピチ高校生やってます。

部屋で一緒に漫画を読んでいたら突然、幼なじみの

萩野そうまが「俺が吸血鬼だったらどうする?」なんておかしなことを言い出したから、そう言い放った。

もう、まーたバカなこと言ってるよ。


「知らんって。俺に関心無さすぎてまあ清々しいな」


「はいはい。そうまがどんな返答を期待してたのか知らないけど、そういう冗談は通じないからね。子供じゃないんで」


「いや子供だろ!俺ら16だからな?」


「わかってないなぁ。大人でも子供でもない…。そんな、唯一無二で繊細な年頃よ」


「どっかで聞いたことあるフレーズだな…。まぁそんなことはいいのだよ。本題は、俺が吸血鬼だったらどうするかということだ!」


「どうするって…実際、別にどうもしなくない?

そうまが吸血鬼だとしても、今まで通りだよ。

そうまはそうま、君ひとりじゃん」


「じーん…。いい幼なじみを持った…」


「ま、弱っちそうだし?どーせそこら辺に紛れて平凡な男子高校生やってるんだろうなぁって」


「ぐさっ…。さっきの気持ちを返せ…」


「はいはーい。普通の高校生、そうまくん」


そうまは運動も勉強も、至って普通な高校生。小さな頃から友達を作ることが得意で、すぐに誰とでも打ち解けあってたな。中学の頃はバドミントン部で、頑張ってる姿がかわいいって、女子にちょっとだけ人気だったりしてて…。

ちなみに私は運動も勉強も学年で上位を争う、ちょっとできる女?ってやつなのよね~!むふふ…って、やばい、読者の皆さんに心の声バレてるんだった…!


「く…!さな、俺は本気だぞ?本当に吸血鬼になったんだよ」


「へ~?吸血鬼ってさ、あれでしょ?血を吸うやつ」


「そうそう。だけど、よく聞く吸血鬼の特徴とは少し違うんだよ」


「どう違うの…?」


「太陽の光りに直接当たると笑いがとまらなくなるんだ!!」


「…え?笑い??」


「あぁ。面白いことなんて特に無いのに、お腹の底から笑っちゃってさ。涙がとまらないんだよ!」


そうまは太陽の光に当たると笑いがとまらなくなるらしい。正直、そんな吸血鬼あるか?って思った。


「吸血鬼って太陽の光にあたったら灰になっちゃうんじゃなかったっけ?」


「だよな?だけど、灰になる訳でもなく笑いが込み上げてくる。…いや、あれは笑いすぎて苦しいからいつか酸欠になるレベルだな。要注意だ」


「要注意だ、って…。そうま、それまじ?」


「まじ。いやほんとにさ、俺、困ってて。また変なこと言い出したって思うかもしれないけど、信じてないと思うけど本当なんだよ!どうしたらいいのかわかんなくて…」


そう言ってそうまは頭を抱えてうなだれた。

いつもは冗談が好きなこいつだけどなんかほんとっぽいな。え?根拠がないって??うーん…。根拠はないけど、なんか分かるんだよね。16年一緒にいる長年のの…感かな?


「うーん。わかった!信じるよ」


「さな…!!…ほんとうに、、ありがとうな!」


「いえいえ。あ、ちなみになんだけど…」


「うん?」


「吸血鬼っぽいものがあったら見てみたいかも」


やっぱり何が出来るかが一番気になる。

やばい、ちょっとだけワクワクしてきた。


「吸血鬼っぽいものか…」


「うん、無理そうだったらいいんだけど…」


「いや、あるよ」


「え!なになに??」


「ちょっと目瞑ってて」


「目?…おっけい。瞑ったよ」


「3.2.1…。いいよ、目開けて」


「ん…って、、えええぇぇぇ?!」


目を開けると、そうまは大型の犬に変身していた。

こんなことって本当にあるんだ


「びっくりしたー?」


「びっくりどころじゃないわ!てか喋れるんかい!」


「喋れるよ。俺だよ、俺」


「そうま…だよね??私、吸血鬼には自由自在の変身能力があるって聞いたことがある…。本当に吸血鬼だったのね」


「ようやく証明できたな」


「てゆうかどうして犬なのよ!そこはコウモリの方が雰囲気でるのに!」


「さな、犬が好きじゃん?…それに、せっかくだから女子から撫でてもらいたいなーって」


「後半の理由で台無しだわ」



こうして、ある日突然、平凡だった幼なじみが奇妙な能力を持つ、人でない存在になった(吸血鬼??)

詳しいことはまだわからないから、これからそうまに根掘り葉掘り聞くつもり。

あぁ、平和な日常はどうなっていくんだろうな…。

でも、実はすこしだけワクワクしてたりする…



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