第6話 母上?どうしたのです?
今日は母上による魔法指南の日だ
父上は魔法騎士だが今はまだ剣術のみを教わっている
理由は母上から魔法を学び許可得られれば魔法剣を教えてくれると言っていた
まぁ魔法も魔法剣も使えるけど
父上の時のことを踏まえて魔法については知識だけと思わせることにした
再び屋敷の訓練場で
「じゃあアークちゃんまずは魔力について知識は大丈夫よね?」
「はい、母上」
「うん、ならまずは今から魔力を体で感じてもらうわ」
そう言って母上の僕の手を握った
「どう?アークちゃん」
「何か温かいものが母上から流れてきます」
どうやら母上が僕に魔力を流している様だ
他人に魔力を流し込むなんて高度な技術なんだけどな師匠以外では初めてだ
俺も出来ないのにさすが母上だ
「母上これが魔力なのですか?魔力は他人には渡せないと先生から聞いていたのですが」
「センスあるわねアークちゃんこんなに早く魔力を感じるなんて」
「それと魔力を他人に渡さないのは、まぁあっているわ、魔力は人の性格の様にそれぞれ個性があるの」
「だから他人同士の魔力は相手に渡すことが出来ないとされているわけでも私は相手の魔力を感じ分析して自分の魔力を変質させて相手に送ることができるのよ」
………簡単に言ってるけどあり得ないな
要は性格というよりも違う血液型の相手に自分の血を相手と同じ血液型に体内で変えて輸血する様なものだ
ホントに規格外だなこの人は
「ただアークちゃんは私の子供だからか、魔力を送りやすいわね」
ふむ…となると血が繋がっている方が魔力の性質が似ているのだろう
「母上、すごいです!」
「ふふん!そうでしょう〜魔法のことならお兄様にも負けないんだから」
お兄様とは言うまでもなく国王陛下のことか何度か会ったことはあるが国王としての威厳に満ちた顔を僕は見たことがないいつも僕やエステルに対しだらけ切った顔しか見せないのだ
甥っ子姪っ子に甘い親戚のおじさんみたいにしか思えないんだよなぁ
でも国は平穏そのものなので素晴らしい国王なのだろう母上も慕っているし父上も忠誠以上の信頼を向けているのがわかる
「さてアークちゃん、魔力を感じ取れるのなら練習用の魔法を使ってみましょうか」
「はい、母上」
「まずはよく見ててね『ライト!』」
母上が人差し指を立て指先に魔力を集めるそして魔法名を唱えると指先から光が発せられた
「これが初歩の魔法『ライト』よ、灯りを付ける魔法なの」
「綺麗です!母上」
ここは素直に褒めておこう
「僕もやってみます!」
とりあえずここは失敗しておくか
「え?ちょっとアークちゃ『ライト!』カッ!
あたり一面眩い光に覆い尽くされた
「グオォォォォ目、目がーー!!」
冗談だけど
「もう、アークちゃんったら出力も考えないで魔法を使うから」
「な、なんで母上は平気なのですか〜?」
「魔力で目を覆って守ったのよ」
「えーずるいです母上!」
まぁ、僕もなんだけどね
「ふふ、さぁしっかりしてアークちゃん!練習しましょ!」
それからいくつかの魔法を母上から教わった
「アークちゃん凄いわ!教えた魔法全部使えるなんて」
「母上の教え方が上手なんですよ」
「いいえ、アークちゃん普通はこんなにも早くこれだけの魔法を使うことはできないわそれにアークちゃん体は平気?」
「はい、何も問題ないですが」
「これだけの魔法を行使して全く疲れてないアークちゃんの魔力量は私に近いかもしれないわね」
母上が唸りながら何かを考えている
すると
「アークちゃん、空に向かってなんでもいいから魔法を全力で打って」
「え?全力ですか?」
「えぇそうよ、あなたの魔力量を計るわ」
母上がいつになく真剣に僕を見つめて言った
「本当は魔力測定器があるんだけど、おそらくアークちゃんの魔力量は測定器では測れないほど多いわ」
「だから私がアークちゃんの全力の魔法を見ておおよその見当を付ける」
「わかりました」
僕は両手を空に向かって突き出し魔力を練る
言われた通り全力で打つ!
「こ、これは!」
どぉごォォォォ
凄まじい勢いで太い炎の柱が空へと立ち上っていく
「ふぅ」
魔法を打ち終えた僕は母上の方を見るすると
母上ひ僕を見てポカンとしている
「は、母上?どうしたのですか?」
母上がはっ!と気づき
「ア、アークちゃん貴方今の魔力量は…それに詠唱も……」
これはやらかしたか?全力と言われてホントに全力でやったのだが
確かに師匠から教わった魔法には詠唱がなかったな
母上は僕がわかりやすい様に態々魔法名を言ってるのだと思ったのだが違った様だ
「アークちゃん!凄いわ!」
突如母上に抱きしめられた
「私よりも圧倒的に魔力が多いわ!それに詠唱なしで魔法を行使するなんて師匠にしか出来なかったのに!」
ん?師匠?母上の?
「母上には師匠がいたのですか?」
「えぇ、もちろんよ私が貴方くらいの頃に魔法を教わった人がいたのよ」
「その師匠が詠唱なしで魔法を行使していたけど私では出来なかったわ、なのにアークちゃんは教えてないのに無詠唱で魔法を行使するんだもの!驚いちゃったわ!」
「は、母上でも詠唱無しで魔法が使えないのですか?」
僕は背中に嫌な汗が出ているのを感じた
「えぇ、この国ううん…この世界で詠唱無しで魔法を行使することのできる人なんて師匠以外いなかったもの」
僕の嫌な予感が確信へと変わりつつある
そういえばあの人元はこの国に居たって言ってたな
「因みに母上の師匠の名前は…」
「え?師匠の名前?大魔法使いソロモンよ」
………師匠じゃねぇぇかぁぁぁ!!!
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エレナ視点
今日はアークちゃんに魔法を教える日
アークちゃんはとても楽しみにしていたわ
ママも気合い入っちゃう!
アークちゃん…私とアドルフの可愛い天使…もちろんエステルちゃんも
アークちゃんとエステルちゃんが一緒に遊んでいるところを見ると本当に天使に見えるわ
親友でもあるメイドのエマも本当の子供の様な眼差しを2人に向けている
この屋敷の者は皆アークちゃんとエステルちゃんを大切にし愛してくれている本当に感謝しているわ
さて愛しのアークちゃんの頼みなんだから気合いを入れなくちゃ!
しかし、始まった魔法指南では驚きの連続だった
初歩的な魔法の『ライト』でどれほどの魔力を使えばあんな光を発するのだろう
それに苦しがってるふりをしてるけど目に魔力があるのがバレバレよ
あんな高度な事この歳から出来るなんて
教えた魔法は一度見せただけで完璧に使役していった
確かに昔から難しい魔法を使ってたけど……透明化とか
かなりの魔力使ったはずなのにアークちゃんは全く疲れを見せない
私だってこれだけ魔法を行使すれば疲れるのに
不思議に思った私はアークちゃんの魔力量を計ることにした
とんでもなかった…
アークちゃんの魔力量はこの国で最も多いと言われる私を遥かに凌いでいた
それに私が遂に習得出来なかった無詠唱の魔法をいきなり行使したのだ
私は師匠以外にこんなこと出来る人間を見たことがない
これは私の手に余ると思った
正しく導かねば最悪この国が吹き飛ぶかもしれない
もちろんアークちゃんがそんな事をするとは思えないが万が一の、いや億が一のためにも慎重にならねばならない
私は王族として公爵夫人としてこの国を愛している
夫のアドルフと2人で国王であるあ兄様を支え続けていくつもりだが
1人の魔法使いとしてアークちゃんの行く末を見たいと思ってしまったのだ
私は数年ぶりに師匠へ連絡をする決意をした
「アークちゃん、いえアークライド貴方は一体何を成すのかしら、ふふふ」
今からが本当に楽しみだわ!
「それはさておき、アークちゃーん一緒にお風呂に入りましょー」
「うわぁ!は、母上!もう僕は小さくないので!1人で入ります!」
将来、あの子が何を成すとしても私の自慢の子供だ
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