第4話 ルグウィン公爵家
「アークライド様ー!どこですかぁー」
「アーク様ー!いい加減出てきてくださーい」
「いた?」
「いえ奥様、どこにもおりません」
「全くアークちゃんったらお勉強になったらいつもどこかへいなくなるんだから見つけたらお説教よ!」
びくっ!ささっ…
「!そこね!」ガシッ!
母上の手が何もないはずの場所へと伸び、何かを掴んだ
「奥様?何を…」
「見つけたし捕まえたわよ!アークちゃん!」
「!!坊ちゃま!」
「あー!アーク様!奥様すごいです!」
「うぇぇ!なんでいつもわかるのさ!母上!見えてないよね!」
母上の掴んだ先から突如俺星水秀もとい
アークライド・ルグウィンが姿を現す
「もう!アークちゃん!いつもいつもお勉強から逃げてるくせに透明化する魔法なんて一体いつ覚えたの!それとアークちゃんを見つけられるのは愛よ!」
「奥様、それでは見つけられない私共はアークライド様を愛していない事になります」
「そうです!我々メイド一同いえ、この家に仕えている者全てアーク様を心から敬愛しております!」
俺を探していたメイドの2人カノンとメイが胸を張って母上に抗議する
カノンは俺の乳母だ、母上よりも身長が高くスラっとしていてモデルの様なスタイルにキリッとした顔、黒目黒髪の黒いウサ耳がある兎人族である、少し目が鋭いがとても優しく、気配りができ、仕事も早い出来る女性だ
メイは最近雇われた新人メイド、見た目は中学生くらいだが前世の俺と同い年の16歳だ…琥珀色の瞳に茶髪のイヌ耳がある犬人族の活発で元気な女の子だ
この家の人たちは俺すごく、それはもうすごくよくしてくれるけど本人を前に言わないでほしい照れるのだが…顔が熱くなってる気がする
「あら、ふふふアークちゃんったら照れちゃって可愛いわね2人ともごめんなさい、もちろんわかっているわこの家に仕えている者たちがアークちゃんをとても大切に想っていてくれる事」
母上は慈愛に満ちた眼差しを2人に送り
「まぁ愛でアークちゃんを見つけたのは冗談よアークちゃんの透明化は消えているアークちゃんと周りの魔力を見比べると少し揺らいでいるのよねだからわかるのよ」
なんだよそれこの家で俺の透明化を見破れるのは母上と父上しかいないんだぞ
先生だって見つけられないのに俺の両親はやっぱとんでもないな
俺がこの家ルグウィン公爵家の嫡男として産まれ早6年が過ぎた
どうやらこの世界は俺が生前異世界転移した世界と同じ様なのだ時代も変わっていなかったので世界の情勢も大体わかったこの国も覚えがあった名前だけだが師匠から聞いていた
この国、アストラル魔法国の国王アルガルド・ヴィ・アストラル陛下の妹にあたる母上と伯爵家であった父上が結婚し公爵家を陛下から与えられたのがルグウィン家だ
ルグウィンの名は代々公爵家に受け継がれる名前だそうだが2世代前からルグウィン家はその名を継ぐ王族(公爵の爵位を得るのは王族のみ)がいなかった為に空席になっていた
そんな時母上と父上が結婚するに至って陛下から公爵の爵位を賜ったそうだ
貴族社会では珍しい恋愛結婚らしく母上と父上は毎日イチャイチャしているそこに俺も一緒に愛でられるのでなかなかに疲れる色々と…
公爵家は王族の家系であり俺も当然王族になる
このアストラル魔法国は名前にある通り魔法が特に発展した国だどうやら初代国王が魔法大好き人間だったらしく同志を集めて魔法の研究に明け暮れた様なのだ
そこから魔法使いの村、魔法都市、魔法国家と人口も増え国ができたそうだ最初に人を集めて皆を纏めていた最も優秀な魔法使いを王として国を作ったと父上に教えられた
その初代国王がアークライド・アストラル様だ俺の名前も初代から取ったそうだ
建国理由が軽くないか?因みに陛下も母上も普段はとてもノリがいいというかというかふわふわしてる
母上はともかく陛下はそれでいいのか…
しかしその血のせいなのか母上はそれはもうとんでもなかった
まず魔力がすごいこの人ホントに人間?ってくらいの魔力量なのだ
転生して落ち着いた頃に母上の魔力を見たらかなり驚いたものだ…
師匠よりあるんじゃないか?
どうやら王家の血筋は魔力の量が多いらしく母上は特に飛び抜けている
もちろん魔力量だけでなく魔法の才能もずば抜けており女性でありながらこの国最強の宮廷魔法師団の団長として国中に知られている
その美貌からもファンが大変多そうだ
父上はそこまでの魔力量も魔法の才能もないのだがこの人も人間じゃない気がするなぁ
父上はこの国の魔法騎士団の団長であり魔法だと母上には敵わないらしいのだが父上は魔法と剣技を合わせた魔法剣士だ
その剣技が凄まじかった一度騎士団の訓練を見学させてもらったのだがびっくりだ
騎士団最強の第一騎士団総勢100人と魔法師団100人を相手に魔法なしという縛りまで自身にかけて剣技のみで圧勝した
いや、おかしいだろ剣で魔法切るわ剣圧で何人ものガタイのいい騎士たちを吹き飛ばすとかどれだけ強いんだよ父上…
「--ちゃん、アークちゃん!聞いてるの!」
あ、ヤバ!
「はい!母上!なんでしょうか」
見ると母上がほう頬を膨らませているかわいいではなく
「もう!聞いてないじゃない!お勉強の時間ですよ!先生も待ってくださっているのだから早く行きなさい!」
「はーい、母上」
俺は部屋へと戻る…フリをして窓から逃亡を計るが
「!!!」これは!体が動かない…
「アークちゃーーん?」
母上の魔法で拘束された
「は、母上……」
どうやらここまでの様だ……無念……
そして俺は母上の監視のもと勉学に励むのだった
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