ヤンデレっ子はアノ子を救いたい

タカメイノズク

第1話 恋

2001年、高校3年の春。青春最後のこの春に私は、好きな人ができました。


「ねえねえ康子、金田とつきあったらしいよ」

「まじい?ずっと片思いしてたもんね」


下らない


「せっせんぱい!付き合って下さい!」

「いいよ、付き合おうか」


くだらないくだらない


「今度彼氏とデートするんだー」

「マジ?いいなー」


下らない下らない下らない


「下らなーーーーーーーーーーーい」

「うるさいよ里香ちゃん何が気に食わないの?」

「全部!」

「こりゃ重症だ」

「いちいち恋だのなんだのさーそういう曖昧なもの私嫌いなんだよー」


お昼休みの空き教室...私は廊下から聞こえてくる恋愛話に愚痴を言いながらお昼ご飯を食べる、私にとって親友の七瀬と昼飯を食べるこの時間だけがこのくだらない学校生活、唯一の癒しだった。


「あーもういらいらするううううううう!もう受験のころあいだぜ?色恋沙汰でキャーキャー言ってんじゃないよ!」

「まあまあほら、1年生かもしれないじゃん」

「ここの楷は中央階段以外基本他学年通行禁止だよ?中央から一番離れてるこの空き教室までやってきて、色恋でキャーキャーする一年ははっきり言っていかれてるね。」

「相変わらずの恋愛嫌いだこと...」

「ふんだ!」


所詮学校なんて将来良い就職先へ就職するための通過点でしかない、恋?青春?そんなもの下らない、所詮サルたちがわめいてる絵空事、ああもう本当に下らない...


「まあまあそーグダグダ言いますけど、里香ちゃんも恋をしたら変わるかもしれませんよ?」

「そんなわけないでしょ、私が恋なんてするわけない...」


そうだ、私は恋なんてするはずないと思っていた。ましてやそれにのめり込むようなことはしんでもおこらないと思っていた。

この、瞬間までは


「すいません失礼します」


空き教室、それも私たちはただそこでくっちゃべってるだけ、なのにその少年は律儀に挨拶をし入ってくる。

少年は一件女の子かと見間違うほどに端正な顔立ちと華奢な体格をしており、流れるような銀髪の長髪がその少年のかわいらしさをより一層引き立たせていた。


「七瀬さんお昼までに提出のプリントまだ出してないです」

「おおすまないねえありがとう」


どうやら彼は七瀬からプリントをもらいに来たらしい、しかし私の心はそれどころじゃなかった...私の心臓が不規則に動く音がしたのだ。心臓が動悸し少しでも気を抜けば口から臓物という臓物が吐き出されそうな感覚がこの体を襲っていた。


「はあ......はあ......はあ......」

「大丈夫ですか?」


私のことを心配してくれたのか彼は私のほうを向いてきょとんとした顔で話しかけてくる。


「いえ、いええええええええ、だだっだだだ大丈夫ですう!」

「え、でも顔が赤いですしやっぱり保健室へ行ったほうが...」

「いややややややややややや大丈夫!大丈夫!大丈夫...」


ばたっ


結局、私はあまりの衝撃にその場でぶっ倒れて、保健室へ運ばれてしまっていた

私が再びに目覚めたときはもう放課後になっており、あの少年はどこかへいなくなってしまっていた。


「ねえ七瀬」

「なにい?」


私が今から言おうとしている言葉を私自信も信じられなかった。


「私さ...恋、したかもしんない」


私は今日人生で初めての恋を...体験した。

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