2023/5/9 火・晴れ・胃薬再来

 昼寝中、夢の中で鮮明にゲロを吐いてしまった。あまりに鮮明なのでマジでゲロを吐いてしまったのかと起きてからあたりを見わたすくらい鮮明なゲロだった。後味最悪。ほんとに最悪。

 飲んだブラックコーヒーが悪さをしたんだろうか、ひどく胃の調子が悪い。夢も相まって口の中が気持ち悪い。そんな時こそ胃薬だ。この日記のタイトルを忘れないでほしい。

 一番忘れているのはお前だろうという突っ込みはなしでお願いします。


 夢の中でゲロを吐くに至った理由は自分でもわかっている、無尽蔵に思われた根拠のない自信がぽっきり折れたからに他ならない。要するにスランプだ。こいつにゃ敵わねえ!という作品と出会ってしまった。今までどんな名作秀作を読んでも揺らがなかった「まあいうて私は私だしなぁ」というスタンスが足元からガラガラ崩れてしまった。崩壊。

 「まあいうて私は私だしなぁ」が崩れ去るきっかけになった作品は、作品としては稚拙なのにすごみがあって、そのすごみがどうしようもなく私に刺さって、その刺さった先から「切実さ」みたいなのがひしひし伝わってきた。そのくせ、泣かされた。作品に泣かされるなんて久しぶりだ、久しぶりすぎて、久しく言葉を忘れてぼんやりしてしまった。ぼんやりした上に、小説の案出しをしながらもその作品のことを考えてしまう。何も手につかない。仕方ないから寝た。寝たらゲロを吐く夢をみた。


 これ以上のものは私には書けない、と考えてしまった。一瞬でも。

 作者は七十代を過ぎてから小説の執筆をはじめ、八十歳でその作品を書いた。「創作は年齢ではない」というけれど、年齢を重ねた分だけの経験とか、着眼点とか、そうしたものが老成されていて、作品の粗などまったく気にならなかった。どうしたらこの境地に至れるだろうか。どうしたら。

 胃を病んだ原因はこれである。どこぞで「きょうは日記を書かない」と言ったが、なんとか胃を押さえながら書いている。


 書かねばなるまい、この敗北感。

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