第23話
長い行列の先頭に
鉄で錆びているブランコがある
悲鳴のような風切り音混じりの
鎖の歪みの中に
子供の一瞬一瞬の悲鳴にも似た歓声が上がる
行列の数は 二つ
左右に五人ほどであろう
時たま グループや 何か授業の後すぐに
休み時間になり
体育から 教室に戻らず
そのまま 遊具で遊ぶ場合もある
その日も
運動会の予行練習後の休み時間で
高学年から低学年までが
そこに集結してしまった訳だ
もしかすると 休み時間に終わらずに 順番が来ないかもしれない
そんな事を 考えながら 別のところに
それこそ 先にトイレでも済ませて 教室にでも戻ろうかと考えていると
感性の質が変わり
悲鳴にも似た音が
背後で聞こえた
私は学校の階段を 大人が走っていくのが見えた
校舎からは遠く
それは すぐに 校内に入っていった
順番だよ
意外にも早く回ってきた私は
すぐに入れ替わるように
ブランコに乗る
別段乗りたかったわけでは無いが
鎖に掴み
思いっきり漕ぐ
すると鎖は 半分
半円を目指し そして越えるかのように
揺れ出す
向こうの学校
校舎の登り階段に
私は 何かが動くのを見た
それが何となく
先程の大人のように見え
すぐに
大人が 外に出てきた時
私はブランコをジャンプするように降りて
逃げる事にした
周りの子にも
逃げろと言う
男の手には何か光る物が握られており
私は どうやらまずい事になっているのではないかと
入口から出てきている大人を見てそう思ったのだ
それはどうやら 鎌を持った用務員さんだったのであるが
なぜか時折
必ずブランコを待つ時背後で悲鳴が聞こえるのだ
偶然だろうか
それとも この場所だけに聞こえる風音なのだろうか
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