第20話






 そうは 思うのであるが しかし ブランコを止め あたりを見渡すが あの四角い鞄が存在していない

どういうことだろうか

支柱に立てかけるように置いてあったランドセルを誰かが 盗んだとも 私の視野からは考えにくい

では 最初から持って来なかったのかとも思えるが

しかし 確かに 私は ランドセルを このブランコの鉄製の支柱付近に置いたのだ

その証拠に 僅かに 鞄の跡が地面に薄らと残っているでは無いか

私は さて 困った物だと もう一度 辺りを 見渡して 気がついたことがある

それは 鞄の後に 何かを引きずったような線が見える

それはずるずると 公園を出ており

私は 何か動物が引きずったのではと考えるも

コンクリートに変わった道に

私の追跡能力は半減する

仕方なく 塾まで行き

筆記用具でも友達に借りようと夕暮れの道を歩き

コンクリートとの箱のようなビルに向かう

遠目でも明かりが見える

その前に立った時

中から見知った隣町の生徒の顔が 扉から出てきた

 やあ

私が言うと

彼女は首を傾げたように 何やら明るい背後を見て

また私を見た

 何

私は事の発端を話すと 彼女は にんまりと笑い

 冗談はやめてよ 

と笑って 何処かに いや 帰ってしまった

生徒が次々と出てくる

私は どうしたものかと 中に入ると

時計を見た

 あれ

時計は午後8時を示している

私は首を傾げながら

家に帰ると

母親が驚いたような顔をして

あんた 休んでたんじゃ無いの と言う

何のことか分からず 部屋に戻ると

机にランドセルが置かれており

私はいよいよ 頭を抱える

 お風呂出来たわよ

下からそんな声がして

私は 事がどう言うことか調べるために下に行く

お腹も空いているのだ

 お母さん ご飯は

お勝手で洗い物をしておる母に私は言う

 何言ってるのボケてるの

水切り場に私のお茶碗を見る

私はまだ食べていない

 お風呂の前に ご飯食べる

私はそう言うと母は

 さっき お風呂に入っていったじゃない

と私を見る

何とも居心地悪く

私は 怒りのような感じを抱きながら お風呂場に行くと

電気がつけてあったが

風呂場は湯気が立ち込めるばかりで 誰かの影を見る事は出来ない

まるで煙のように消えてしまった私を前に

私は消息を絶ったのである

以後 あの公園で 置引きがあったと言うが 関連性は不明である


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