第16話 第四門と第五門の攻防

第四門では、シールドが情報を精査し、こちらも殺さず向こうにも殺されないようにぬらりくらりと時間を稼いでいた。

「兵たちよ。相手を殺さず殺されないように防衛せよ」

「そんな無茶振り」

「ここを凌れば勝機が必ず訪れる」

王よ。どうか無事に逃げてくだされ。このシールド、ここを墓場と決めましたぞ。

「時間稼ぎをしたところでもはや戦況は覆せないというのに馬鹿め。暗黒兵たちよ。全て殺せ」

「モルドレッド様のために」

入れ替わりに暗黒兵たちが進軍を開始する。

「あれが全身真っ黒の突然現れた兵か?奴らに殺されるとそのものも全身真っ黒の兵となるか厄介だな」

しかし、先ほどの奴らとは違いコイツらは殺せば死ぬはず悲観する必要は無いだろう。

「我が従騎士たちよ。全身真っ黒の兵どもを討ち取れ〜」

「オオオオオオ」

従騎士の攻撃を真正面から受けて立つ暗黒兵。

「なんだコイツら防御するわけでもねぇ。だがとんでもなく固てぇ鎧だ」

「グワァーーーー」

「どうした」

後方から黒影が投げナイフを鎧のツギハギ部分を的確に狙っていた。

「モルドレッド様のために」

当たった従騎士を禍々しいオーラが包み込み暗黒従騎士として蘇る。

「死んだらだけじゃないのか?」

「訳がわからない」

第四門は、従騎士と暗黒従騎士との乱戦に突入する。

こうなると暗黒従騎士は、従騎士のときよりも数段パワーアップしており、その槍の攻撃に貫かれて、どんどんやられた従騎士が暗黒従騎士へと変化していく。

「嘘だろ」

従騎士といえど圧倒的な力の差を前に心が折られる。

「お前たち、踏ん張るのじゃ」

シールドの声も、もはや届かない。

戦場で無抵抗になったものを本来なら殺さずに捕虜とする。だがモルドレッドにとっては、意思のない暗黒兵として蘇らせる方が重要だ。だからここで武器を落とすことは即ち死を意味する。情け容赦ない暗黒兵たちの攻撃によりシールド以外の全ての従騎士が暗黒従騎士へと変化した。

「クソ、もはやこれまで。王よ。先に逝く事を、お許しくだされ」

玉砕覚悟の突撃をするシールドの前にあの男が立つ。

「従騎士シールドよ。すぐに終わってくれるなよ」

「ランスロットか。我がハルバードのサビとなれ」

ランスロットは斧を取り出した。

「ハルバード相手に斧だと。舐めるなランスロット」

「舐めてなどいないさ」

ランスロットは、シールドのハルバードによる攻撃を斧で凌ぎ接近して、鎧ごと首を刎ねた。

「何だと」

その瞬間ブシューッと血が噴き出し、絶命するシールド。

「従騎士ですらこの態度か。つまらん。次に行くぞ」

ハーッハッハッ。ランスロットの武力に俺の暗黒軍団、第五門を抑えれば、その先は玉座まで直ぐだ。もう少し待っていてください父上。そう心で言いながらニヤリと笑うモルドレッド。


第五門では、ガードが重装歩兵団を率いて、徹底抗戦の構えだ。

「ここから先は行かさぬぞ。モルドレッド」

「第二殿下に対して無礼ではありませんか?ガード将軍」

「生憎、反逆者に持ち合わせる礼儀など知りませんな」

「俺が反逆者?違う我等は魔族と通ずる王を罰しにきた追討軍である」

「くだらぬ戯言など聞き飽きた。さっさと来い」

流石鉄壁のガード将軍。全ての攻撃を完全に防ぎ時を稼ぐ。今まで1門5日ほどで突破していたのだが第五門のガードは、10日間もランスロットとモルドレッドの暗黒軍団を相手に凌いでいた。

「アグラヴェインを呼べ」

「モルドレッド様のために」

暗黒伝令がアグラヴェインを連れてくる。

「我が君よ。どうなされた?」

「相変わらずゴマをするのは得意だな、アグラヴェイン」

「おいおいそんなに怒らないでくれよ」

「フン。お前の弓兵たちに魔素を取り込ませろ」

「まぁ、電撃作戦だからそろそろ時間がたりねぇからそれも仕方ねぇか。わかったよ」

アグラヴェインは、そういうと弓兵に魔素を取り込ませて、さらにパワーアップも兼ねて、暗黒従騎士たちにトドメをささせた。

「何故です?アグラヴェイン様」

「すまねぇなぁ。モルドレッド様の命令なんだわ」

「誠心誠意お仕えしている我々ですらモルドレッド様は信じられないというのか?哀れな、グハッ」

弓兵たちを禍々しいオーラが包み込み漆黒の弓兵として蘇る。

「良し、モルドレッド様からの指令を与える。重装歩兵団に一斉射撃だ」

「モルドレッド様のために」

大量の矢が飛んでくる。

「我ら重装歩兵団に矢など通じんわ。馬鹿め。盾構え」

先頭の指揮官がそう言う次の瞬間。

「グワァーーーー」

何と矢が盾を貫通し鎧をも貫通し心臓に突き刺さる。

バタバタと倒れていく重装歩兵団を禍々しいオーラが包み込み暗黒重装歩兵として蘇る。こうして、10日間耐えた第五門も終わりの時を迎えていた。

「このガード、例え1人になろうともこの先へは決して行かせぬ」

そのガードの前にあの男が立ち塞がる。

「その心意気や。良し。この俺を楽しませてくれ」

「ランスロット。今までの門の守備を務めていた将兵たちの仇取らせてもらうぞ」

盾と長めの剣ロングソードで、突撃をするガードにランスロットは、双刀で相手をする。

ガキーンガキーン、ランスロットの頬をロングソードの切っ先がかすめる。頬から血を流すランスロット。

「良いぞ。良いぞ。もっとだ。もっと」

「これで終わりじゃランスロット」

ランスロットは、ロングソードを受け止め相手の盾を踏み付け飛び、背後からバッサリと斬った。

「グハッ、王よ。申し訳ございませぬ」

そう言いガードは絶命した。

「よくやった。ランスロットよ。後は王城のみ頼んだぞ」

「言われなくてもわかっている。モルドレッド」

ランスロットが先に行ったのを見届けると後ろを向き部下たちに命令するモルドレッド。

「暗黒兵たちよ。城下町にいる住民だが男は殺し、女は全て捕まえて1箇所に集めよ」

「モルドレッド様のために」

そう言い暗黒兵たちは城下町に進軍した。

「アグラヴェイン」

「はっ、城下町に進軍した暗黒兵たちの指揮をお前に任せる」

「心得ました我が君よ」

フハハハハ。ようやくだ。ようやく俺の理想の国の誕生まで後一歩だ。

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