第11話

ダンテ達二人はバイクを走らせ、ユス地方へと入った。すっかり夜になり、静かな荒野にバイクの音が響く。


「ねえ、ダンテ。変わり映えしないつまらない場所ね。本当に行く意味あるのー?」


「ああ。だから行ってみる価値があるんだ。それに、俺らは調査員。調べなきゃならないだろ。」


ユス地方は約90k㎡。

形は台形に近く、原子力発電所は最北端に位置する。未だすれ違う車も無く、荒野が広がり、廃れた家がポツンと見えるぐらいだ。


「でも、ダンテ。どこに向かえばいいの?ここまでは来たものの、何も無いじゃな〜い。」


「原子力発電所だ。」


ダンテは旧道をバイクで走り続ける。



原子力発電所。

かつてはこの国の電力を賄っていたが、謎の爆発により今では使われていない。

ダンテ達はバイクを止め、柵を越えて原子力発電所に侵入した。


「ねえ、ダンテ。」


「何だ。」


シャロンはもじもじして、ダンテに目を合わせない。


「ベッドでさ、する前にさ、言ったじゃん!」


「………何を。」


「私はダンテの味方よ。信じてって。」


「ああ、信じてるさ。シャロン。」


ダンテは前に進んでいった。


「んー、ダンテ。ここ使われていない発電所なんでしょ?何かあるのー?」


「あるならここぐらいしか無い。一つずつ潰して行くんだ。」


夜の目に慣れてきたダンテは銃を構え、ゆっくり進む。シャロンは物陰に隠れながらそそくさとダンテの後を追った。


ダンテは左手を出しシャロンを止めた。二人は物陰に隠れる。すると、人の気配がした。

そこには武装した歩哨がいた。歩哨の左腕には、紋章のような物が見えた。


(あれは、リーベッドの印、、、)


二人は歩哨の後を追った。

暫く観察するも、その歩哨一人の気配しか無い。ダンテは後ろから襲いかかった。


「動くな。そのまま左へ。そうだ崖の方。」


ダンテは歩哨を物陰へ誘導し、シャロンは武器を取り上げた。


「お前、リーベッド組か。答えろ。」


ダンテの頭に銃が向けられた。


「ダンテ、ごめんね。」


「シャロン?」


銃を向けたのは、シャロンだった。


「そう、リーベッド組だ。」


笑いが混じった男の声がした。

ダンテは振り向くと、武装集団に囲まれていた。

癖っ毛にアロハシャツ、サングラスをかけた男が出てきた。


「ダンテ、久しぶりだな。」


「、、、お前は!!」


「んー、お前じゃない。ヤンサムだ。」


そういうと男は、シャロンを撃った。


「おい、貴様!!」


「おっと、急所は外してある。ほら脇腹だ。ってかヤンサムだって言ってんの。、、、あーこうしちゃいられない。ダンテついて来い。」


ダンテはヤンサムの命令に従うしか無かった。

シャロンは血を流しながら何処かへ連れて行かれ、ダンテとは別々となった。


「お前の行動、そしてバイバツ組の行動は全てシャロンから筒抜けだった。彼女はよく働いてくれたよ。」


「貴様、、、」


「ヤンサムだ。」


ヤンサムは鍵を使い扉が開き、施設へと入った。


「ここはもう使われてないんだろ。」


「ああ。使えなくしたのさ。あるモノづくりの為にな。」


なんと、原子力発電所はリーベッド組により爆破されたのだ。


「全てはこの素晴らしい基地のため。誰も近づきはしない。だが空気が長年悪かったがな。俺はね、こう見えてこの基地の所長でもあるんだぜ凄いだろ。」


ヤンサムとダンテ、そして武装集団とエレベーターに乗り、地下へと案内された。

エレベーターの扉が開くと、そこには大きな電子パネルがあり、なにやら化学式や電子構造が書かれてある。


「これは!?」


「察したのかダンテ。そう、私達が開発したのは素晴らしき、ウイルス兵器だ。」






《人物紹介》


氏名 ヤンサム・スター


年齢 52歳


職業 リーベッド組の幹部、研究所の所長


身長 165㎝


趣味 数学、チェス

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