パートナー

秋光

第1話

冷たい、これはコンクリートか。あれ、俺なんでこんな所で寝てんだ。体がびしょ濡れじゃねえか。待て、これ、血だ。

そうか、そうだった。俺、撃たれたんだ。なんで撃たれたんだっけか。

………空気の流れが変わった、誰か来る、、、



「あ、兄貴イイイ!!」


男は叫び、目を覚ますとそこは病室だった。

男は右胸と左腹に激痛が走り、悶絶した。


「ま、まだ面会は出来ません!あ、ちょっと!」


看護婦を押し除けて、ゾロゾロとスーツ姿の男達が面会しに来た。5日ぶりに彼が目を覚ましたと連絡を受けるや否や、黒の高級車が病院の駐車場に集まる。


「ダンテ。オメェ死んだかと思った。」


顔中刺青だらけの男が煙草に火をつけ、ベッドに座る。


「………俺だけか?」


男は溜息混じりに煙を吐く。


「そうだ。オメェしか生きとらん。」




遡ること5日前。

古い港倉庫に男たちが集まる。


「兄貴、来ましたね。」


若い男は顔をこわばらせ言う。


「ああ。少しでもスキを見せるなよ。いいか、停戦してるとは言え相手はリーベッド組だ。」


男はそう言うと、鞄を車から下ろした。

彼の名はブロー。ダンテに兄貴と慕われるバイバツ組の副リーダー。

ブローとダンテは街に名を馳せる、名パートナーだ。


「良いか、小さな取り引きだろうが、俺たちバイバツ組の沽券に関わる。ダンテ、油断するな。」


リーベッド組は車を止め、5人、降りてきた。

癖っ毛のアロハシャツの男が一人近づいてきた。サングラスを外す。


「いやあ、バイバツの皆さん。………4人ですか。いえ、取り引きでしたね。コレが例の物だ。」


アロハシャツの男は笑顔を作り、袋包みの物をダンテ達に見せた。


「バイバツの皆さん、我々リーベッドとは今や停戦中、殺し合いしていた時が懐かしいよな。このまま平和でいるのもいつまで続くか。」


「そんな戯言はいい。取り引きを終わらせよう。」


ブローは男の話を制し、鞄を見せた。

アロハシャツの男は鼻で笑った。


「相変わらずヘラヘラしてるな。停戦してるとは言え。」


「ハハッ、まあ良い。停戦なんてなぁ、、、」


アロハシャツの男の後ろにいた奴らが銃を向けた。


「飾りでしかないんだよ。」


「!?」




病室。


「すまん、そこまでしか覚えてねえ。」


ダンテは組の男たちに記憶の全てを話した。

ダンテ。歳は二十歳。

細目で色白、細くツンツンした黒髪。孤児だった彼は組に入り、十年経つ。


「なるほどな。俺たちが確認した時は我らの組の死体しかなかった。ただ一人を除いてな。ああ、十分な証言だ。」


ダンテは痛む左腹を押さえ、


「奴らの宣戦布告だ!俺たちの取り引きでその火蓋を切りやがったんだ!」


と、男達に訴えかけた。


「ダンテ、お前はすっこんでろ!その体じゃ邪魔だ!待ってろ。」


顔中刺青だらけの男はそう言い、男達は皆ダンテを後にした。

ダンテは一人病室、痛みに耐えかな横になる。


「あ、兄貴、、、本当に死んだのかよ。」







《人物紹介》


氏名 ダンテ・ヤング


年齢 20歳


職業 バイバツ組の組員


身長 178㎝


趣味 バイク


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