異世界転移したら超絶滅寸前の悪役でした(泣)
ゴネ次郎
第1話
皆さんこんにちは、俺の名前は
百力 剛(ひゃくりき ごう)です。題名の通り単刀直入に言いますよ。
ークラス全員で異世界に転移し、俺だけ…………絶滅寸前の悪役になりました(泣)
ー1時間前ー
4月…それは仲間たちと絆を深める第一歩の時。
俺…百力 剛も新しい仲間たちと絆を深めようとしていた…
が、入学式当日…新入生54名
ー全員転生しました!
というわけで詳しく説明しましょう!
入学式当日にて俺ら54名は緊張で張り詰めた入学式会場にいた。
中々終わりが見えない校長先生の大変ありがたいお話に俺は耳を傾けながらうたた寝をしていた。そろそろ終わるかなと思い、顔を上げると、俺の身体をキラキラと眩い光が囲んでいた。周りを見渡すと、俺以外の新入生全員が同じ眩い光に包まれていた。
「キャァァーーーーーー!」
クラスに絶対1人はいる甲高い声で喋る奴が奇声をあげたのと同時に俺の意識が遠のいていくのを感じた。
……「ハッ!」
俺が次に目を覚ましたのは清らかな空気に包まれ、シーンと静まり返った森の中だった。
俺は横たわっていた体を起こそうと腕をつくと、入学式に現れた眩い光が俺の目の前に止まった。
徐々に目が光に慣れてくると、光がくっきりとした女神の形に見えてきた。その女神が静かに微笑むと、柔らかな口調でこう告げた。
「私は、ここの世界の女神です。昔は勇者と悪役のバランスは大変良かったのですが、現在は、勇者だけを大量生産してしまい、悪役はこっ酷くやられて激減しまいました。絶滅寸前までに…。そこで悪役を増やそうと貴方方54名を勇者と悪役の1:53の割合にしようとしたのですが、入力した際に誤って勇者と悪役の割合を逆転させてしまって……貴方だけ、悪役にしてしまいました。テヘッ」
「………まあ別に悪役は強いイメージがあるから良いと考え…」
俺の意見を遮る様にしてまた女神が口を開いた。
「ここの世界の悪役は勇者1人よりも弱くなっていますよ。」
さも当然のように言われ俺の
SP(精神・ポイント)は残りわずかになっていくのを感じた。
更に追い討ちをかける様に女神はケラケラと笑いながら話しかけてきた。
「さっきも私が告げた通り、1:53の割合が逆転したでしょう?だから元々貴方を勇者にする予定だったので、貴方は悪役でも勇者の設定を引き継いでいるので、レベル1のまんまなんですよねぇ〜。
あっ、でも安心してください!
新米勇者に貰える『切れ味抜群の紙切れ』と『ダンボールの盾』が付いてきますよ!」
「…?俺の聞き間違いですか?紙切れとダンボールと聞こえましたが…」
「そうです!厳密には、『切れ味抜群の紙…」
「ストォッープ!」
今度は俺が女神の言葉を遮った。
「なぜナイフや剣ではなく紙切れなんですか?しかも盾はダンボールだし…せめて革製とかあるんじゃないですか?」
「先程告げた通り、私は間違えて貴方を勇者にする予定が悪役にしてしまいました。しかし設定は勇者のままでして、貴方は現在レベル1。この世界では、レベル1ではナイフすら持てない貧弱な体という設定なので、最初に貰える武器は『切れ味抜群の紙切れ』で安全だからです!」
女神はえっへんと胸を張りながら俺を見つめてきた。当然、俺の頭には『?』が大量に並んでいた。
「な、なぜナイフすら持てない体なのですか?た、盾がダンボールのなのはなぜ…?」
「言ったでしょう!?レベル1は貧弱で不器用なのでナイフを持たせたら、自滅してしまうのですよ。ほら、不器用だから自分で自分の体に突き刺しちゃうの!レベル1の誰に持たせてもこの結果は変わらないわ!」
又々女神は誇らしげに俺に喋らせる暇を与えずにまた口を開いた。
「盾はね〜…。ダンボールの盾はなくても変わらないですね。レベル1は貧弱なので革製の盾を持つと重過ぎて腕がもげてしまうのですよ〜。つまりこれも自滅するという事ですね。なので盾は安心安全ダンボールということで…」
「レベル1じゃ何も出来ないじゃないかぁぁぁぁぁあああ!」
女神のヘラヘラとした声をもかき消すほどの俺の大声が広い森にこだまする程響くのだった…
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