【短編】

そこらにいるウナギ

どうしてこうなった?

〈3/18〉

 僕の名前はレン。どこにでもいる普通の高校生だ。まぁ、英語が嫌いだったり勉強しなかったりと頭が悪い人間なのが正解なのかもしれないけど……

そんなことはどうでもいい。現在僕はスマホを片手に突っ伏している状態で頭を抱えている。どうしてこうなっているのかって?それは、LONEの開いているトーク画面が原因だった。

 相手は中学時代に仲が良かった(と思う)ユキという女子だ。まぁ、僕はゲームとラノベが中心の人間だったから恋愛とか興味なかったっていうのもあって色々関わっていたってだけなんだけどね。ネクタイ盗られるし、筆箱盗られるし、寝てたら起こされるし……まぁ、嫌じゃなかったから特に不平不満もなく色々やっていた。

そして今、トーク画面に表示されている「付き合いたい?」。

いやまぁ、8割自業自得とは言えどうしてこうなったんだ……


~少し前~

 ある理由から自分の家から遠く離れたS県の祖母の家に来ていた僕は、特に理由もなく外食した時の写真をユキに送り付けていた。一昨日に写真がユキから飛んできたのでそのお返しにと、まぁ子供っぽい理由で写真を送った。その後も、少し前に食べたスイーツの写真を送りつけたり、や-い、子供ー。とまぁ、次元の低い言い争いをしていたり、話題は二転三転と転がり続けていた。


ユキ 僕って馬鹿じゃなくね?

   君は正真正銘の馬鹿。


レン お前は馬鹿ってよりポンコツやな。

   どこかぬけてる。


ユキ 否定はしない…


レン ま、そこが面白いがな。


ユキ 面白い女…?!


レン お、そうだな。


ユキ 照れちゃうわ〜(*´∀`)


 そして、僕はこの後に「そして、そこに付け入る隙があるからなー。」と打とうとした。が、ここであ、そうだ。と、ろくでもない考えが思い浮かんだ。「隙」を「好き」にしてやろうと。


レン そして、そこに付け入れる好きがあるからなー。


 これを打った後、どんな反応するんだろうなー。と楽しみにしていた。


ユキ やってはいけない誤字がある……


レン おっと、ホントダー


 ここまではよかった。ここまでは。


ユキ ( ゚д゚)ハッ!

   もしかしてそーゆー意味??


レン どーゆー意味?


ユキ 匂わせ


レン なんの


ユキ 察し悪!!!


 まぁ、そこまで察しが悪くないしここまでわざとやってるから恋愛の話だとは思っていた。けどまぁ、面白いしもう少しだけ伸ばしてみよう。


レン で、なんの?


ユキ えー言わせるのーー


レン 言わせるー^^


ユキ だから!!


レン だから?


ユキ 僕のことが好きってこと!!

   ばーーか!!


レン そそそそそんななななわけないいいじゃん()


ユキ わっ説得力無い


 そりゃぁ、説得力出そうと思ってないしなくて当然。


レン でしょうねー


ユキ でどうなんだい?


レン どっちだとおもうかね?


ユキ 実は僕のこと好きだった?


レン なわけ

   ま、仮に好きだったとしても言わんがね


 実際は好きだったけど、まぁ、伝えても嫌だろうし噓をつくことにした。


ユキ ありゃ残念

   てかなぜ?


レン んー。

   忌避感が強いからかなー。


 まぁ、嫌われたくないってのが一番だったけどそこは何となく隠した。


ユキ あっそう


レン まぁ、噓つきの言葉は半々くらいに聞いとけ


ユキ どゆこと?


レン んー?そのままの意味だが。


ユキ そーですか


レン そーですよ


 ここで僕は(いらないことを)気になりだした。仮に(仮ではないが)好きって言ったらどうなっていたのだろうか……と。


レン てか、好きって答えてたらどうなってたんだ?


ユキ んー好きって言ってくれるまでナイショ~


レン へーい

   で、言えば教えるんだよなぁ?


 気になってしまったら最後。気が済むまで追い掛ける持病が発生した。まぁ、自分がどう思われてるかは気になるでしょ?最悪、引き返せると思った僕は踏み込むことにした。


ユキ え、、、まぁ


 ユキも引き返すと思っていたのか若干動揺しているらしい。わからないけど。

まぁ、面と面向かって言うよりRONEの方が言いやすいってのもハードルを下げたのだろう。


レン 好きです


 ここで10分ていど間が開いていた。気になりすぎている僕は、追撃することにした。追撃なのかはわからないけれど。


レン なんだー。もう少し具体的に言ってやろうか?


 ちなみに、この時点ではノープラン。見切り発車もいいところの発言だ。


ユキ え、じゃあお願いします。


レン そうやなー。第一に一緒にいて楽しい。んで、次に女子の中で始めてかわいいなーって思った。くらいかねー。


 素直に思ったことをそのまま伝えることにした。まぁ、最悪、噓でーすみたいな感じでごまかせればいいな。とは、思ってはいた。


ユキ えっとぉ…

   タンマ


レン ほい

   あぁ、別に感想が暴言やらなんやらでも気にしないからあしからず


 まぁ、急に言われて感情の整理つかないだろうし、暴言だろうが何だろうが受けとめる機ではいた。


レン まだー^^


 言いたいこと言ったし、おふざけモードに入って急かし始めた。まぁ、単純に気になっていたしね。


ユキ もうちょい待って…


レン あいあい


 まぁ、答えられなくて当たり前か。と、思い直して置いておくことにした。そして、2時間ほど過ぎたあたり。


ユキ さっきの話さ、恋愛?友情?


 話始めたときは面白半分だったっていうのと、面白いから誤魔化す方向に舵を切った。


レン んー。面白そうだからご想像におまかせするよ。


ユキ なにそれー


レン ふっふっふ。


 とはいえ、気になるし仮の話で恋愛の方向にしてみよう。


レン んー。じゃ、仮に恋愛のほうだったらどうなるん?


ユキ わかんないちゃんと言ってよ


レン 恋愛のほうでいいよ

 

 気になるし、そっちのほうでいいかな。どうせ、何もないだろうし。


ユキ なるほど


レン おん


ユキ 付き合いたい?


 ここでこの言葉が出てくるとは思ってはなかった。とはいえ、(言ってはいるが)認めるのはちょっと癪だったので誤魔化すことにした。


レン お前は?どうなん?そこんとこ。


 送ってから威圧的だなぁ。と、少し遠い目で文面を見てた。


ユキ 質問を質問で返すのはよくない


レン そういうお前も答えてない質問あるからおあいこ


ユキ た、確かに…


 なんでこういうことは思い出すのにテストで何も思い出せないんだろうなぁ。と、思いながら


レン 答えてほしかったら先にちゃんと答えてもろて


ユキ んー友情のほうが強いからなぁ今はわかんない


レン ん

   んじゃ、友情で。


 予想していたし、特に精神ダメージを負うことなく終わらせようと思っていた。


ユキ 付き合ったら変わるかも?良い人だし


レン さて。ま、付き合う付き合わないは任せる。従う。


 この時は、この話は終わったものだと思ってたから、特に考えることもなくユキの裁量に従うことにした。


ユキ 付き合ってやらんくもない


 はい。ここからが予想外です。


レン お、おう…

   ちなみに、予想外だったって話する?


ユキ どうぞ


 ちがう、そうじゃない。


レン えー…いや、お前がいいなら付き合ってほしいっちゃほしいが…


 まぁ、元々好きだったし…ここで逃すのもアレだったので言ってみることにした。

ここで、噓だよー。って言われる未来を想像してたのだが……


ユキ そんなの?


レン まぁ…うん。


ユキ じゃあよろしく?


レン よろしく?


 とまぁ、付き合うことになった。ちなみに、この後、数日は感情と思考の制御がうまく行かなくて色々大変だった。

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