第118話 スイーツ配信
昨日の夜、明日香から電話が来た。釧路方面は電波が通じるからかけて来たそうだ。『今釧路港に着いたけど、お兄ちゃんは元気?』だって。俺の妹最高。
だがその後、聞き捨てならぬことを聞いた。釧路方面の探索を3グループに分けて行っているのだが、明日香のグループは、明日香と楓ちゃんと獅子王戒だというのだ!
あいつ、なに俺の専用席を横取りしてるんだよ! 職権乱用だ!
俺は速攻で明日香に抗議したのだが、『戒さんは私達二人だと危険だと思って、付き添いを買ってくれてるだけだよ』と言われ、ますますはらわたが煮えくり返ってしまった。
いっそのこと、転移して獅子王戒をぼこぼこにしてやろうかとも思ったけど、明日香の顔に泥を塗りそうだから止めておいた。
それに、途中で三人家族を救出して一緒に行動していたって言うし、そこの子どもに獅子王戒が、ロリコ何とかとか、ハーレ何とかって言われていたと聞いて、俺の溜飲もだいぶ下がったのは事実だ。
それから、明日香からなんで俺が作る魔物料理はおいしいのか聞かれたから、事前に魔素を分解しているからだと教えてやった。
こんなの世の中の常識だと思ってたけど、明日香に『そんなの誰も知らないよ』って言われて愕然とした。
そうか、てっきり魔素を分解できるスキルを持っている人が少ないから、
よし、別に内緒にしてたわけじゃないから次の配信で紹介してみるか。
そうそう、次はスイーツを作ってみようと思ってたところだった。俺も明日香も甘いもの大好きだったのに、俺としたことが
今日何気なくアイスクリームを食べていて、稲妻が落ちたような衝撃を受けた。『俺、こんなに甘いもの好きなのにスイーツ作ってないじゃん』と。
そこで、俺は
材料は
俺は材料を確認した後、富山県のレンタルキッチンへと飛んだ。
▽▽▽
「はい、みなさんこんにちは。魔物料理屋のキー坊です。今回もみなさんにダンジョンの素材を使った料理を紹介したいと思います。今日はフルーツパフェを作ります!」
俺はいつもと違い、材料を全てテーブルの上へと並べた。
「さて、今回はとある美少女に『なぜ
といっても、特に難しいことはしていません。ただ、ダンジョンで採れる素材は魔素が大量に含まれているので、その魔素を取り除いているだけです。
もちろんスキルを使って取り除いているのですが……まあいいか、そのスキルは『魔素分解』といいます。もし、このスキルを持っている人がいたら試してみてください」
よし、これでいいだろう。魔素分解の説明を終えて満足した俺は、早速フルーツパフェ作りに取りかかる。くくく、今から食べるのが楽しみだ!
まずは
それと同時にこれまた
そうそう、俺の調理器具は
上白糖が溶けたら火を止め、
結界に細かい穴を開け、何度かこしながら紫に輝く鍋に戻し火にかける。
念動力で混ぜながらとろみがついたら火を止め、今度は氷魔法で鍋ごと冷やしていく。
そこにバニラエッセンスと隠し味にリキュールを少々加え、後は冷やして完成だ。おっと、途中で一度混ぜるのを忘れないように!
さて、できたアイスをきれいな器に詰め込んで、上に生クリームをたっぷりかけ、イチゴ、バナナ、キウィをきれいに盛り付ける。
これに、クッキーなんかの市販のお菓子を添えてもおいしいよ。
「はい、ダンジョン産フルーツパフェの完成です。では、早速実食を……」
俺は念動力でカメラの画角を下げ、顔を映らないようにしながらパフェを食べる。
「くぅぅぅぅぅぅ、うまい!」
超絶濃厚な生クリームとアイス。それに負けないさっぱりとした、それでいて甘酸っぱいイチゴとキウィ。バナナはアイスや生クリームとは違った甘さを届けてくれる。
これを一人で食べるのは贅沢すぎる。ぜひこのおいしさを他の人にも伝えたかった。
あっ!? もしかしてこの配信、明日香が見るかもしれないな。そしたら絶対に羨ましがるに違いない。すぐに食べれるように、たくさん作ってアイテムボックスに入れておこう。
楓ちゃんも甘いものは好きだったはずだから、一緒に食べてもらってもいいね。だが獅子王戒——
オマエニハゼッタイニヤラン!
食べ終わったところで撮影を止め、色々なフルーツを使いながら何種類かパフェを作り置きしておいた。
後は、今夜にでもこの動画をアップしておくか。反応が楽しみだ。
俺は使った器具を片付け、キッチンを来たときよりも綺麗にして自宅へと転移した。
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