配信したのは妹で俺は妹のチートマネージャー
ももぱぱ
第1章 日常生活編
第1話 2度あることは3度ある?
自転車で2人乗りをしているところにトラックに突っ込まれ、とある異世界『ケルヴィア』に転生した兄妹。実際に転生したのは妹で、兄は妹のチートスキルとして妹の活躍を裏から支えたのだが。
お決まりの魔王を倒し(実際は改心させた)、これからどうしようかとしたときに、妹はあまりに強くなりすぎたため化け物扱いをされたことに心を痛め、自らその世界から去ることを決意した。
転生魔法を自らにかけ、最強の闇魔法で自身を滅ぼした妹は何の因果か、またケルヴィアに転生してしまう。しかも、仲間だった2人の子として。
当然のように兄も妹のスキルとして転生? したのだが、赤ん坊に転生した妹にはそれまでの記憶がなかった。化け物扱いされたつらい記憶がないのを幸いに、兄は『ステータスを引き継ぎ赤ん坊ながら世界最強となった妹』を導き、今度こそ幸せな生活を送ってほしいと奮闘する。
異世界からの侵略者と戦ったり、邪悪な神を倒したりといった中で妹の記憶が蘇ってしまう。しかし、それまでかつての仲間だった父と母に愛情たっぷりに育ててもらっていたおかげで、過去のトラウマを乗り越えることができた。
そして、妹の2度目の転生から150年後……
▽▽▽
「ああ、私の人生は人の3倍長かったけど、とっても幸せだったわ。それもこれもお兄ちゃんのおかげね。ありがとう、お兄ちゃん」
トレントの木でできた立派なベットの上に横になっているアスカは、一人呟く。大量の魔力を保持し、通常の人族より長生きした彼女であったが、150年の長き時を生き今まさに天国へと旅立とうとしていた。
先ほどまではたくさんの友人や子ども達、そしてかわいい孫達に見守られていたが、いよいよ死期が近いと悟ったアスカは、全ての人に部屋から出て行ってもらい、一人ベットに横になっている。最後に兄とゆっくり会話をしたかったからだ。
(気にするな。妹を守るのが兄の務めだ。それより、3度目の人生は楽しめたか?)
アスカの脳にいつもと変わらない声が響く。地球で死んだ自分を転生させるために、自らスキルとなることを望んだ心優しき兄の声だ。
「うん、幸せだった。もうこれで思い残すことはないかな」
一度目の人生はトラックに轢かれ、二度目の人生は自ら命を絶ち、三度目の人生でようやく幸せをつかむことができた妹。その満足げな声に兄はようやく肩の荷が下りた気がした。
(そうか、それはよかった。ちなみにそのことを聞けた俺も幸せだぞ)
「ふふふ、私だけが幸せだったら後悔するところだったわ。お兄ちゃんも……幸せで……よかった……」
(ああ、間違いなく幸せだったぞ。大切な妹を赤ん坊時代から見守ることができたからな)
「ちょっと……恥ずかしいけど…………お兄ちゃんが…………幸せなら………………よかった……………そろそろ………………行くね……」
(ああ、ゆっくり眠るといい。いつまでも一緒にいるからな)
「………………ありがとう……………………お兄ちゃん……」
こうして妹はその長い人生に幕を下ろした…………はずだったのだが
▽▽▽
~とある神界での出来事~
「システィーナよ、あれがそなたの転生に応じケルヴィアを救った者達か?」
「はい、時と運命の女神様。おっしゃる通りでございます」
真っ白な空間で二人の女神が向かい合って座っている。一人は転生の女神システィーナ。この兄妹を地球からケルヴィアに転生させた張本人である。そしてもう一人は時と運命の女神クロノラ、地球的に言えばシスティーナの上司に当たる。
二人の間にあるこれまた真っ白なテーブルの上には一つの水晶が置かれ、その中には今まさに息を引き取ろうとしているアスカの姿が映っていた。
「そうか、二度にわたってそなたの世界を救った者達か……このまま死なすには惜しいな」
「はい、特に一度目の転生の時はつらい目に遭わせてしまいましたので……」
システィーナの言うとおり、一度目の転生の時はたった1年ほどでアスカが自ら死を選んでしまうという悲しい結末だったのだ。それを思い出し、システィーナは顔を
「よし、この私がこの者達に褒美を与えよう!」
落ち込んでしまったシスティーナを慰めようとしたのか、クロノラが明るい声で言い放った。なんとも人間味溢れる女神様達だ。
「クロノラ様がこの者達に褒美を? 一体どのようなものを与えるので?」
伏せていた顔を上げ、驚いた表情を見せるシスティーナ。時と運命の女神の力は強大で、世界にとってあまりに影響が大きすぎておいそれとは使えない。それがわかっているからこその驚きだった。
「えっへん。たまには私も力を使いたいのですよ!」
その答えを聞いてシスティーナは顔をしかめる。自分やアスカ達のためではなく、大部分が自分のためだったからだ。システィーナは先ほどの感動を返してほしいと思った。
「それで、どんな褒美を与えるので?」
「ふふふ、それはね……」
そこでクロノラが語った褒美とは、システィーナの予想通り再度転生させるというものだった。しかし、そこは時と運命の女神。ただの転生ではなかった。何と、時を戻し二人が事故に遭う直前の世界に転生させるというのだ。
「もちろん、二人が死んでしまった事実が残る世界には転生させられないから、全く同じ世界というわけにはいかないんだけどね」
クロノラ曰く、いくら時と運命の女神でも死の運命を回避させることはできないらしい。正確には『できない』のではなく『やってはいけない』らしいのだが。それではどうやって事故直前の世界に転生させるのかというと、事故が起こらなかった場合の世界に転生させるというのだ。
そしてその世界はアスカ達が暮らしていた世界にとてもよく似ているが、全く同じではないそうだ。
そこにはアスカ達の知り合いや友達もいるし、住んでいた家も残っている。兄に買ってもらったばかりのかわいいピンクのリュックもあるだろう。クロノラ曰く、ただ一つだけ違うのはその世界には『ダンジョン』があるというところだ。
アスカとショウが暮らす地球のパラレルワールドには『ダンジョン』が存在している。
果たしてそこで二人はどのような生活を送るのか。
システィーナは一抹の不安を覚えながらも、時と運命の女神クロノラの奇跡を見守るしかないのであった。
——————————————————
本日より、投稿を開始いたします!
初めての現代ファンタジーになりますが、楽しんでいただけるように頑張ります!
よろしければ読んでみてください!
あと、キリのよいところで構いませんので、続きが気になったらフォローや星をいただけると嬉しいです!
もしよろしければ、主人公が1度目に転生した物語
「転生したのは妹で俺は妹のチートスキル」も暇つぶしにどうぞ!
https://kakuyomu.jp/works/16817330663864669656
ついでに、主人公が2度目に転成した物語
「続・転生したのは妹で、俺は妹のチートスキル」も暇つぶしにどうぞ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます