大仏時計

健さん

第1話

俺は永年勤めていた会社に、リストラで自己退職して現在失業中だ。もうこの生活は、4か月になる。とりあえず、失業保険と退職金で何とか生活している。ハローワークに足繫く通ってはいるが、現在55歳。はっきし言って、この歳で仕事はない。襟好みしなければ、”それなり”には、あるのだが。20件のうち、1件ぐらいは、いいのがあるのだが、、。その求人票を、持って相談員のところに行く。すると、40代くらいの女性相談員に、「ここに、求人したいのですが、、」すると、求人票を見て言った。「お歳は、55歳ですよね。フフフ、、フフフ、、。」何がフフフだ?失礼だな。思わず、俺は、睨み付けると、見下した表情で、「ここ見ました?」その女性は、下の部分を指さしている。(なになに?)よく見ると、”30代、40代活躍中”「それが何?」「今ですね、年齢の制限を公に書けないから、こうゆう言い回しで、年齢を規制してるのですよ。フフフ、、。」フフフって!?何か気に障るな。「ってことは、50代は、ダメってことですか?」「ピンポーン!!大正解」「ピンポーン??ワレ、ふざけてんのか!!」俺は、すぐさま、ハローワークを出た。俺は、近くのファミレスに入って、お茶を飲んで、頭を冷やした。俺も、もう55だものな。確かに、仕事は、あっても、清掃の仕事とか、一番多いのは、介護職。あと、不動産の営業だ。この前、ポストに入ってたのは、ア〇ゾンの配達の仕事だ。”すぐ採用”なんて、書いてあったが、軽自動車用意しないといけないし、だいち、いままで、配達の仕事したことないしな。俺は、ファミレスを出て、コンビニに入り、今夜の晩飯と、無料の求人雑誌を手に、レジに向かった。部屋に戻り、その求人雑誌を見た。やはり、どれも、”大同小異”だな。しかも、介護の求人多すぎ。まあ、これからも、高齢化社会だからな。んん!?よく見ると、”65歳の方も頑張っています”。??家のリホームの仕事だ。なになに?壁の塗装とか、水廻り(風呂、トイレ)の営業だ。まあ、ダメもとで、履歴書送ってみよう。あれから、5日経ったが、何の連絡もない。(やはり、経験ないし、ダメかな?一応未経験者大歓迎と、なっていたけど、、)ある日、あんまり暇なので、隣町まで、散歩に出た。以前に通ったことがあり、前から、気になっていた骨董屋に、入ってみた。な~に、冷やかしだ。店内には、所狭しと、色んな、”ガラクタ”が、あり、特に目についたのは、何の変哲のない置き時計。上部に大仏様が、座っている。すると、いきなり、高木ブーに似た店員が、出てきた。あーびっくりしたなもう!「どうですか?この大仏時計。本来は、5000円だけど、買ってくれるなら、2000円でいいですよ。」ほんまかいな。3000円も値引き?そういえば、家には、腕時計は、あるけど、置時計は、ないけどな。でも何かあやしいな。もともと、2000円じゃないのか。”高木ブー”に聞いてみた。「安くして、何かそれ、いわくつきの時計じゃないの?どこかの、事故物件の遺品とか。」「いやいや、ウフフ、、。」何!またウフフかい!!「ウフフって何ですか?」「いや、特に何もないですよ!ウフフ、、」だから、ウフフって!結局2000円で購入した。そして、ベットの脇にその置時計を、置いた。しかし、音が異様に大きいな。規則正しく、部屋中に響き渡る。”カチカチカチ”と。そして、次の日、リホーム会社から連絡が、来て面接。そして、あっさり合格!朝7時から、家に帰ってくるのは、大抵、20時すぎだ。営業だから仕方ないな。俺は、無我夢中で、頑張った。営業は、始めてだったが、なぜか、順調に契約が取れて、社員は、15人だが、俺の成績は、だいたい、上から、2番目だ。今月の給料はいいぞ!給料出たら、久々に焼肉でも食べいくか。俺は、6か月この座を明け渡すことなく常に2位だ。しかし、”ある時”から、気力もなくなり、会社も休みがちになり、ついに、2位の座から転落して、今では、下から数えてほうが、早い。いったいどうしたのだろうか?うつ病か?体もだるいし、何もする気になれない。”そういえば”!!。俺は、すぐさま、大仏時計を、手に取った。”死んでる”電池切れだ。俺は、すぐ、新しい電池を入れた。すると、大仏時計は、水を得た魚のように元気に動きだした。そして、俺も、ほうれん草を食べて元気になったポパイ(古いな。笑)のように、元気になった。よーし!明日から、また頑張るぞい!!

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